壁と霧の向こう側/※作者より【24】 ページ22
「……柚くんは僕に似てる。誰かのためにしか行動できない。誰かの役に立てて始めて自分の存在を認識してる」
柚「悟ったようなこと言って、奈々だって本当は今、困ってるんでしょ?」
「………」
柚「話してよ。おれのこと褒めてくれたみたいに、たくさんたくさん奈々のいい所言えるよ?おれのことは助けたのに、おれには助けさせてくれないの?」
「僕には………」
柚「今君が考えてることを当てようか。
『まずい、早くこの話題を切り替えなきゃ』
『だめだ、柚くんはこれじゃあ納得してくれない』
『なんだこれ、とてもめんどくさい』
『この関係を変えないためにはどうすれば』
………どう?当たってる?」
言い訳しようとすると、柚くんは笑顔でさえぎった。
「……今日はなかなか引き下がらないね」
柚「当たり前。奈々だってこういうのそろそろ飽きてきた頃、でしょ?」
「………そうだね、飽きてきたよ。もうたくさんだ」
柚「そうだと思った。じゃあ手っ取り早く終わらせるために、ほら」
ひとつ年上のお兄さん。優しくて爽やかで、ちょっと意地悪な、夕陽とはだいぶ違うタイプのせんぱい。
それが僕の中の柚くんだ。昔っから真っ直ぐ僕の目を見てくる。なんでも見透かされているようで怖くて、だけど思わず吐露してしまいそうになる。
弱音を、本音を、心の奥底を。
「………ふたつの道で悩んでる。一方は大きな壁で、もう一方は霧が立ち込めてる。その先は全然見えなくて、諦めて帰ろうとしたけどいつの間にか同じ場所についてしまっている。
どこにいけばいいか分からない。どっちに進めばいいかわからない。
立ち止まって、うずくまって、見えないはずの向こう側にいる人を眺めてる。……それが今の僕だよ」
柚「なんだ、そんなの簡単じゃん」
「え、簡単なの……?」
柚「かべだよかべ。壁の方に行った方がいい」
◇◇◇
※作者より【24】
ここから幼なじみモードがしばらく続きます。少々お付き合い下さい。
さらに夏休み期間ということもあり、3日に1回ペースだったのが、2日に1回とかになったりしますが、気にしないでください。
やめろぉ!そんなにバンバン更新するんじゃない!という方はコメント欄から教えてくれると考え直します。
よろしくお願いいたします。
◇◇◇
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ななき。(プロフ) - かなとさん» ご指摘ありがとうございます。 (2019年7月19日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年7月19日 20時) (レス) id: 54cfb5026c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年7月19日 20時