五月の星屑は金平糖【男性声優】11 (ページ19)

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どこからが大人なのかページ19

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「悔しくないの？おねえさんがオーディションを受けて勝ち取った役なのに。せっかくあんなに練習したのに……」

「しょうがないよ。こういうのはよくある事だから」

「しょうがなくなんてない！こんなのは、間違ってるよ……」

「………大人の事情だよ。状況が変わったんだから」

「わかんないよ、ぼくにはわからない。……ぼく、言ってくるから。おねえさんに返してあげてって……」

「やめて！！！」

「………っ！」

「………大丈夫だから。またオーディション受けて、また役勝ちとるから。……また、奈々くんの隣で芝居できるように頑張るから」

「今しかないって、今度はないって、おねえさんが言ったのに……」

「……お願い、奈々くん、………大人に、なりなさい」

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何も出来ない自分がやるせなくて、泣いてるおねえさんを見るのが辛くて、結局大人の言うことに従うしかなかった。

今、私はそのおねえさんと同じ年になった。

あの頃、高校生はなんて大人なんだろうと思っていた。

体が大きくなったら、

できることが増えたら、

たくさん映画やドラマに出たら、

舞台を多く踏んだら、

いろんな賞を貰ったら、

レッドカーペットを歩いてみせたら、

誰よりも、誰よりも、頑張ったなら………。

小学生の時は早く中学生になりたくて。
中学生の時は早く高校生にならないと行けなくて。
高校生になれば、勝手に大人になれるもんだと思っていた。

それなのに………今の自分はどうだろう。

あの人の言う、"大人" になれているんだろうか………。

監督「カット」

監督のカットの声を聞き一斉に動くスタッフさんたち。メイクを治し、カメラを動かし、映像をチェックし、台本をめくり………ここにいる人達は、いつ大人になったんだろう。

監督「皐月、随分濃密だけど、何か考えてたのか？」

「………僕に足りないのは、大人の色気なんじゃないかなって思って？」

監督「なぜ疑問形？」

「今の、大丈夫でした？」

監督「あぁ、少年青年役が多い皐月が年齢不詳のバケモノ、しかもキスシーンをどう演じるか見ものだったんだが、いい絵になったよ」

「そうですか……」

よかった、上手くできたみたいだ。