五月の星屑は金平糖【男性声優】11 (ページ16)

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色を変える空、彼らはページ16

彼らの物語はいつだって綺麗だ。

夕陽は、どこかギクシャクした今の関係を変えようとした。羚は、守られてばかりの弱い自分から変わろうとした。

日向は、優秀な兄である夕陽へのコンプレックスを変えるため、演劇部に入ることにしたとこの間聞かせてくれた。

京くんは、なんでもYESしか言えない自分を変えようと、厳しい親を説得してバスケットボールチームに入ったらしい。

学校のあいつらだってそうだ。

立夏は、地味だと馬鹿にされていた映画という趣味を、研究部に入って楽しんでいる。

透木ちゃんは、オタクという仮面を被って有名な京都呉服屋の一人娘というのを隠し続けていたのに、最近レイヤーさん達の服を作りたいと呟いていた。

紀は、大好きだったおばあちゃんのために金髪朱眼という周りから浮く容姿にもかかわらず、祖母の母国である日本に来て真面目に授業を受けている。

桜恋ちゃんは、茶華道の家系として優秀な両親から優等生の兄と比べられることを恐れていたのに、最近ではやりたいことを見つけたのか生き生きしている。

役者仲間の彼らもそう。

椿さんは、母子家庭だからお母さんのために小さい頃から役者としてお金を稼いでいる。

柚くんは、千鳥屋グループの御曹司というスキャンダルを撮られてから、吹っ切れたようにモデルとしても役者としても活躍している。

晶は、3人の姉のせいで身についてしまったというメイクや洋服のセンスをかわれ、あるブランドのトータルデザインを依頼されたと少し照れたように言っていた。

朔は、あんなに人見知りであがり症なのに、一生懸命仕事に打ち込む姿をファンの子に応援され、今度ラジオ番組を持つらしい。

なら、"皐月奈々" の物語はどうだろう。

みんな変わってきている。変わろうとしている。いつまでも立ち止まっているのは、どうやらいつの間にか僕だけのようだ。

変われるかな。変われるわけないよ。

そうだよね。何言ってんのさ。

変わらないはずだった。

変わるって約束したばっかだよね。

いつまでもこんなんじゃだめだろ。

そろそろ変わってもいいんじゃない？

でも、僕は……僕は、なんのために変わろうとしてるのかな。

夜、ベッドに入ると考えてしまう。

─『次や明日じゃなく、未来を望むならいきなさい』─

太陽は行ってしまった。みんな向こうの方で手をふっている。一番星は微笑み、月は夜道を照らしてくれる。

なのに答えが、見つからないよ………。