友達思いの青年 ページ40
セ「それがなに？……ちっ、電話。こんな時に……」
本性出てるぜー。私に見せていいのかー？
セ「Aさんちょっと出てくるな？ ……坂田はいらんこと言うなよ」
坂「おぉー」
まさかのふたりきりになってしまった。先生の頃よりだいぶ若くなって、中学生の頃よりは大人ぽくなった坂田くん。センラが頼んだコンソメスープを両手で持って飲んでるとこはまだ可愛らしい。
坂「カノジョさん、おなまえは？」
「あ、Aだよ。一世 A」
坂「Aさんか。可愛いおなまえやね」
「ありがと」
眩しい笑顔と人懐っこいところは変わらないなぁ……。
坂「センラのカノジョ疲れん？」
「え？」
坂「あいつ独占欲強いしおまけに嫉妬深いやろ？前のカノジョもその前のカノジョもそれでふられてるんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
坂「……って、今カノの前で話すことちゃいますよね。すんません」
「いえいえ、大丈夫だよ」
坂「ほー。ほんまに寛大な人ですねぇ。この人やったら……」
「ん？」
坂「あいつ、口は悪いし性格は難ありやけど、いいやつなんで」
「うん」
坂「任された仕事はちゃんとやるしボケもツッコミもできる、いい男なんです。だから飽きるまでは付きおうてやってくださいね」
「もちろん」
セ「坂田ぁー？人の彼女となに気安く話してんの？」
坂「あ、帰ってきた。今の話はナイショですよ？なんか恥ずいし……」
「わかった」
坂「じゃ、お先に〜」
セ「あ、おい！……アイツ、なんか言うてました？」
「センラをよろしくって」
セ「アイツ、何様のつもりやねん……」
「まあまあ」
セ「………アイツのこと庇うん？」
「え、いや、別に庇ってるわけじゃ…。それに坂田くんいい子だよ？」
セ「ふーん」
「『いい男だから』ってセンラのこと褒めてた」
セ「………Aさんは？」
「え？」
セ「Aさんは、センラのことどう思ってる？」
「えっ…と………」
セ「今のなし！取消しで！あかん、また焦ってもうた……」
「大丈夫だよ。それよりセンラ、この近くに美味しいホットケーキを出す喫茶店があるんだって。行ってみようよ」
セ「ほんまAさんはホットケーキ好きやなぁ。じゃあ行きましょか」
「うん」
よし、なんとか話をそらせた。
この世界のセンラはどうやら扱いにくい性格らしい。下手に刺激しないように、慎重にことを運ばないと……。
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年1月8日 21時
