Piece63 ページ15
『雨がやまなければいいのに』
『……どうして？』
『じいちゃんも、じいちゃんを迎えにきたばあちゃんも、たぶん今雨宿りしてるでしょ。だから、ずっと雨が降っていたら向こうにいかなくて、ずっとそばにいてくれるかなって』
『………そう、かもね』
『でしょ？』
『でもそうすると雨漏りが酷くなって、本がしめってカビとか増えたりして、川が氾濫して町を水浸してって、色々大変だよ』
『………そっか。それは、困るよね』
『そう。だから変わりに俺がそばにいてあげるね』
『………そらくんが？』
『うん、ずっとはムリかもだけど』
『いやムリなんかい』
『でも…』
『でも……どうするの？』
『君に雨が降った時は、必ず傘をさしてあげる』
子供でも大人でもないあの時、縁側で話したなんでもない話を、彼はもう忘れてしまっただろうか。
………うんん、覚えてなくたっていい。もう一度、もう一度、何度だって言うから。
「そらくん」
彼の背中に声をかける。
そ「んー？」
少し跳ねたくせっ毛の髪。繋がれる白く細い手。あの頃より低い声が返ってきた。
「しばらく、そらくんの隣にいてもいい……かな」
私の、精一杯はこんなにもちっぽけで、雨音にかき消されてしまいそうだ。
『Aがそう願ってくれる限りね』そう次の言葉を勝手に期待して。
そ「だめ」
「えっ…」
そ「なんて言うわけないでしょ。むしろずっといてよ」
「ほん、とに…？」
そ「俺が、そうしてほしいんだよ」
やっぱり彼はずるい。すごくずるいよ。
雨がふってよかった。この心臓の音を聞かれてしまったらきっと私はまた照れてしまうだろうから。
でもこうやって必死に隠してることも彼にはお見通しだろうか。
それとも同じように大きな音を鳴らせていたりするんだろうか。
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ななき。(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます！ですです！全然にわかなんですけどね(^-^;小ネタに気づいてくれるの嬉しいです！ (2020年9月6日 16時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します！あの、Piece81の冒頭のまふうらさかの会話なんですけど、もしかしてジョジョのやつですか？私ジョジョ好きなんですよね〜(関係ない) (2020年9月3日 17時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - しおさんいつもコメントありがとうございます！好きって言ってもらえて凄く嬉しいです！テーマとか伏線の回収とかやっちゃうのでテンポ感は大丈夫だろうか、といつも悩んでいるのでそう言っていただけてほっとします。最後までよろしくお願いします(o^^o) (2020年9月1日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ameさん» コメントありがとうございます！最後のラストどっちか迷ってどっちも書いちゃえってことで書き始めたので喜んで貰えて嬉しいです！少し長くなるかもですが最後まで付き合ってくれると嬉しいです。。 (2020年9月1日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - ななき。さんの作品はどれもテーマがあってそれに沿った綺麗な終わり方をしているので、夢じゃなくてちゃんとした小説を読んでいるかのようです。お付き合いした場合のエンドもとても気になります楽しみにしていますね！！ (2020年8月28日 23時) (レス) id: 47ac21f61f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年8月23日 17時
