【文スト】●依頼人だったんですけど●【太宰治】

〈8〉コンビ？ ページ8

こんなにも断られ続けた経験は初めてだ。


お茶に誘えば


『仕事がありますので。』


飲みに誘えば


『行きたくありません。』


好きだと告げれば


『そういえば』


と話を変えられるか、思い出したくないくらいハッキリとフラれるか。


心中は受け入れてもらったことはないが、飲みや食事で女性に断られたことは無い。


今日も真面目に仕事をしているAちゃん。


毎日見て話していて、(前)ちゃんのことで分かったことが幾つかある。


一つは無表情なんだろうけれど、垂れ目な為に話をしていると微笑んで見える。


それから真面目だ。


仕事の覚えも早い。


それと兎に角可愛い。


見ていて飽きない。


人を好きになるとこうなるのだね。


「Aちゃん、はい。」


『ありがとうございます。』


珈琲を差し出せば喜んで受け取ってくれる。


毎日かなりの量の珈琲を飲んでいる。


それもブラックだから私とは真逆。


「毎日Aちゃんと会えて嬉しいよ。」


『職場一緒ですからね。』


「相変わらず可愛いね。」


『仕事して下さい。』


「仕事なんてAちゃんを想えば二の次に決まっているだろう？」


「何をくだらんことを言っとる太宰！」


あー国木田君が怒った。


「名瀬に絡んでる暇があるなら仕事をしろ！」


『そうですそうです。』


あれ、気のせいかな。


「国木田君、あんまり怒ると老眼になるのが早くなるよ。」


「そうなのか？」


「うん。だから怒らない方がいいよ。」


メモを取る国木田君は何時も通り、良い遊び相手だ。


「嘘だけど。」


「この包帯無駄遣い装置がぁぁぁ！！！」


『包帯無駄遣い装置。』


「あのAちゃん・・・」


さっきから国木田君に乗っかっているよね。


『国木田さん、凄い例えのセンス良いですね。』


「センスというか、事実を述べているだけだ。」


『なるほど。』


「いやいや、何か国木田君と仲良くなるの止めてね！？狡いよ国木田君！！」


それからツンツンというより最早ドSじゃないかと思う。


それでも、


「好きだよ！」


変わりはない。


『包帯・・・木乃伊。』


考えてまで、何処ぞの帽子置き場みたいなこと言わないで。

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