【文スト】●依頼人だったんですけど●【太宰治】

〈7〉しつこい ページ7

探偵社でバイトを始めて数日。


皆さん優しく丁寧に教えてくれる。


相変わらず時々シャボン玉は出るけど。


仕事には問題なく、皆さんも特には気にしないとのことだ。


ただ


「Aちゃん。」


私の机は調査員の方々とは少し離れた位置にある。


「お茶しに行こうよ。」


書類の処理が殆ど。


「好きだよ。」


よし、キリが良いところまで終わった。


「Aちゃ・・・」


『仕事、終わったんですか。』


仕事を紹介してくれたし、シャボン玉のことも調べてくれていて感謝してる。


太宰さんのことを知るということなんだけど。


ここ数日で判ったことは


仕事を良くサボる


しつこい


そして


「終わっているよ。この間みたいな顔をされたら傷つくからね。」


やる気になると仕事が早い。


早いというか、早すぎる。


いつもそうしていればいいのに。


「区切りが着いたみたいだね。ではお昼にしよう！」


引き摺られながら連れて来られたのは一階にある喫茶店うずまき。


頼んだサンドイッチは美味しい。


目の前ではとんでもない数の砂糖を入れて珈琲を飲んでいるにこにこの太宰さん。


『それ、もう珈琲じゃなくなってますよね。』


「頭を使った後は糖分が必要だからね。」


『珈琲じゃなくてもいいじゃないですか？』


ジュースの方が甘いし。


「少しは私に興味を持ってくれたかな？」


『いいえ。』


「・・・即答しなくても。」


『そんなに見られても。』


即答よりも体に穴が開くんじゃないかってくらい、毎日見られてる。


「だって好きなんだもの。」


整った顔。


一般的にはきっとモテる人なんだろうなぁ。


この笑顔とかドラマに出てきそう。


『そーですか。』


「あ、流さないで。」


好きってどんな感じなんだろう。


変な人。


『しつこいって言われません？』


「え、何、言葉の攻撃だよ、それ。」


毎日同じ繰返しをしてるのは事実だから。


『飽きないですね。』


「好きになってほしいからね。」


私が？


太宰さんを？


『ないない。』


「せめて分からないって言って！」


『はいはい。まだシャボン玉解決してないですもんね。』


約束は守ります。

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