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静かないつもの夜。


部屋から見える景色はいつもと同じ。


聞こえてくる音は、
泣き叫ぶ声か、啜り泣く小さな声。


左腕に巻かれた包帯を解き、消毒をしてまた巻き直す。


クローゼットから、白い衣装を出して着替える。


来る時間だ。


ノックも無く開けられる扉。


「時間だ。」


重い鎖を引摺りながら、ある部屋へと向かった。


男達が全てを外へ運び、車でいつもの倉庫へ向かう。


また地獄の時間の始まりだ。









倉庫には見慣れた顔もあれば、初めて見る顔もある。


薄暗い倉庫に一ヶ所だけ、人が一人はっきり見える灯り。


そうして一人ずつ、灯りの元へ行き、必ず女性が商品、白い粉を手に立つ。


これは闇取引だ。


私はその頭の娘。


彼奴の娘だというだけで、吐き気がする。


ここで何をしているかって、彼奴の秘書みたいなことをさせられている。


死ぬ方がましだと、何度思ったか。


死ぬ勇気もなければ、死ぬことも、逃げることも叶わない。


この地獄をいつまで見続けるのか。


もう、何年、外に出ていないのだろう。


そんなことを幾ら考えても、私の体は勝手に動き彼奴の手助けをする。


最後の人だ。


私より少し背の高い女の人だろうか。


せめて酷い乱暴を受けませんように。


ここに来た奴等はお互いに連れて来た女性を、品定めのように手を出していく。


こんな所に来る連中がだから真面に握手などで終わらないだろう。


それでも、願わずにはいられない。


こんな奴等皆居なくなればいいのに。


ガシャンっ


明かりが消えた。


配線のトラブルか、それとも・・・。


次に聞こえてきた銃声。


「一体なんだ?!私を守れ!」


彼奴の大声が聞こえ、私の体ど他に2人が彼奴の所へ走り出した。


3人で守るように囲む。


「きゃ・・・いた・・・い・・・」


視界に入ったのは今回1番幼かった女の子。


打たれたのだろう。


血の水溜りに浸かっているように倒れている。


何故、この女の子はこんな目に合わなければならないのか。


何故、私の体はこの子に駆け寄ることが出来ないのか。


こんな奴等がいるからだ。


悔しい。


「全く・・・ポートマフィアに喧嘩なんか売ってくれたから期待していたのに。」


「遅ェ!!!!!」


「灯りに照らされた女装はしっかり撮ってあげたよ。」


「ンだと!?」


2つの影が近付いて来る。

〈2〉→



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作者名:tukimiyayuzuki | 作成日時:2017年8月23日 13時

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