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〈154〉 ページ4

3月。


卒業式を終えて皆で体育館に向かう。


誰もいない静かな体育館。


「あっという間だったね。」


山口の一言は本当にその通りで、3年間の全てを昨日のことのように思い出せる。


「泣きそう▪▪▪。」


『泣いていいよ。仁花ちゃんの我慢してる顔、凄いよ、あはは。』


私は不思議と涙が出ない。


静かな体育館をぐるりと見回してみる。


ここでの3年間は私の宝物。


「▪▪▪何でボール出してきたわけ。」


「うっせぇ。ボールはあれば触るだろ。」


「それはそうだ。」


「変人コンビの頭の中は3年間変わらず。」


「どういう意味だ!!!」


「卒業式の日くらい、仲良くしようよ〜!!」


相変わらずのやり取りに仁花ちゃんの慌てっぷり。


この落ち着くやり取りも見納めかな、しばらくは。


「また集まろう!!」


さすが山口▪▪▪


「どうやって?」


「影山、本当にお前空気読めよ。」


「ア"?」


『難しいだろうけど、この先0じゃないでしょ!死なない限りは。』


「ちょ、Aちゃん不吉なこと言わないで!」


「実際集まるって簡単な話じゃないよね。」


『蛍、影山と同じこと言うくらい仲良くなったね。』


「違うから。僕は事実を言ったまでだから。」


「ツッキー▪▪▪。」


「うるさい山口。」


「何も言ってないけど!?」


皆で体育館を見回す。


「そろそろ行こう。」


山口の一言で皆が出口に向かうけれど。


「わりぃ、もう少し。」


そんなことを影山が言うから皆で目を丸くして見合った。


「先に行ってる。」


「バレー馬鹿。」


『待ってるからね。』


「フフフフ。」


「日向こわいよ。」


外に出ればガヤガヤと遠くから声がする。


「日向?」


仁花ちゃんが振り向いている先には止まったままの日向。


「先行ってて。」


と、戻っていった。


「さっき、こわい笑い方してたんだけど。」


『影山が残ってるのに日向が来ること自体おかしいとは思ってたけど。』


仁花ちゃんと頭にクエスチョンを浮かべていたけど


「どうせ影山のサーブ拾うとか、でしょ。」


『日向と影山のこと良くわかるんだねぇ。』


「その言い方やめて。合ってるかどうかも知らないし。」


たぶん


『「合ってる。あはははは!」』


校門近くでは後輩たちが集まってくれていて、遅れてきた影山と日向と一緒に皆で「またね」をした。

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作者名:月宮 柚妃 | 作成日時:2021年8月11日 20時

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