第13話_03 ページ33
先に縛っておいたおかげか、太もものところに打ち込まれていた杭は抜けたあとに血は出なかった。これで、第一関門は突破した。後はこの傷をどう対処していくか、だ……。取り敢えず床に寝かせるか……？どうするか……。今の魔族の姿は腕を上にあげて氷の魔法で固定されているため、倒れることはない。しかし、ずっとこのままというわけには行かないだろう。迷うな……。
「氷で台を作った方がいいかな？」
後ろで羽海がそう言った。俺は振り返り羽海の様子を見る。腕には俺の方を睨んでくるやつを抱いて、空いた手で杖を持ちながらしっかりと見ていた。が、その顔からは疲れているような感じが伺える。そりゃそうか、この部屋全体がほとんど氷で覆われているようなものだから、疲れるのも当たり前、というところだろう。疲れて当たり前。本来ならば休まなければいけない程に魔法を使っている。俺的には休めたい。しかし、魔族を治すと言ったのは羽海なのだから、最後まで頑張ってもらうしかないだろう。
「そうだな……やってくれるか？」
羽海は小さく頷いて目を閉じて杖を構える。そして、集中しているのか何も言わない。頭の中に思い浮かべているのだろう。少しすると目を開いて口を開いた。
「スイア」
小さい声で羽海は呟いて杖を掲げた。そうすると、あたりが急激に冷えてきて中心に台が出来た。それと同時に羽海は杖を地面について深呼吸している。無理をさせていることは承知している。そもそも、魔法が使えるようになってまだ、１ヶ月も過ぎていない。まだ、完全ではない状態。不完全。未完成。調整中。それでも、やってもらわなくてはいけないのだ。ここからが、俺の力の見せ所。正念場。やってやるさ。こいつが、目を覚ましたとしても……。取り抑えてでもやってやる。俺は、魔族を台に寝かせながらそう考えた。
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月緋鈴(プロフ) - 黒羽さん» あ、言われてみれば「注ぐ」ではなく「盛る」ですね。指摘ありがとうございます！ (2014年1月17日 18時) (
レス) id: ffd19b2f3d (このIDを非表示/違反報告)
黒羽(プロフ) - とても面白い作品を書いてくださり、ありがとうございます。とても面白かったです。まあ、強いて言ってしまいますと、ご飯は注ぐものではなく、盛るものという事だけでしょうか？これからも頑張って下さいね！ (2014年1月16日 18時) (レス) id: 8545d7a4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月燈 鈴 | 作成日時：2013年12月30日 20時
