第12話_01 ページ28
扉に片手を掛けて思いっきり前に押す。ギィイイと音を立てて開いていく。真っ暗なため何も見えないが、扉が開いた瞬間にブワァアと鉄の匂いが鼻に付いた。僕は瞬間的に鼻をつまもうとしたが、竜の子を離すわけにはいかず、顔をしかめるだけにした。
竜の子は、
「ギュゥウウウ……」
唸るような苦しそうな鳴き声で僕の腕の中に顔をうずめた。うん。可愛い。もう、僕は君のそのキュートな姿にメロメロだよ。
………………………………………………………。
うわぁ、恥ずかしい！！何言ってんだ僕！とうとう、頭までおかしくなったのか！？そんなわけない！大丈夫だ！……多分。
すこし心の中で思ったことを恥ずかしく思いながら部屋の中に一歩踏みだす。部屋の中は異様な空気に包まれていて、洞窟の中より明らかに暗かった。目が慣れるまでに少し時間を使ったが段々と中が見えてくる。目の前にはハツキの姿が見えた。しっかりと地面に足をつけて立っている。それなら、この鉄のような匂いは何だろう……。僕は目を凝らしてジッとハツキの奥を見つめた。
「グルルルルルゥゥ……」
奥のものを見ようと必死になっていると、いつの間にか竜の子が腕の中から顔を出して唸っている。威嚇するような恐怖を感じる鳴き声。僕は無意識に竜の子を撫でて落ち着かせようとしていた。僕は撫でながら部屋の中に体をすべて入れる。そうすると、中の様子がはっきりと見えてきた。僕は言葉が無かった。
奥には磔にされている人。
片腕が千切れ、血が地面に垂れている。
千切れた片腕は赤味はなく、青白く変色し始めていた。
地面に垂れている血は固まって、黒く変色していた。
「っ……」
目の前に置かれている光景に僕は吐き気さえ感じる。吐かないだけ僕はまだマシなのだろうか。それとも、こんな光景はこの世界の日常なのか……。何にせよ、吐かなかっただけ自分で褒めてあげたかった……。
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月緋鈴(プロフ) - 黒羽さん» あ、言われてみれば「注ぐ」ではなく「盛る」ですね。指摘ありがとうございます！ (2014年1月17日 18時) (
レス) id: ffd19b2f3d (このIDを非表示/違反報告)
黒羽(プロフ) - とても面白い作品を書いてくださり、ありがとうございます。とても面白かったです。まあ、強いて言ってしまいますと、ご飯は注ぐものではなく、盛るものという事だけでしょうか？これからも頑張って下さいね！ (2014年1月16日 18時) (レス) id: 8545d7a4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月燈 鈴 | 作成日時：2013年12月30日 20時
