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#32 ページ32

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山につき、少し長めの坂道を登っていく
この一本道が続く先に私達の思い出の場所がある

そこでお互いに終わらせ幸せを掴むのだと
そう約束した。

「あと少しだね」

zm「せやな!いつもより、道長く感じる」

「分かる〜」






ゾムに手を引かれながらいつもの道を歩いた

その先には変わらないものがあるはずだった

幸せな終わりが待っているはずだった


一本道から出た途端、私達の思い出の場所から子供が走ってきて、ゾムに激突した。

zm「え、」

ゾムにぶつかった子供はそのまま一本道に走って行ってしまった。

zm「っ、A…」

ゾムが酷く震えた声で私の名前を呼んだ
後ろを振り向けば、あの時見た蛍の光のような輝きがゾムを包んでいた

zm「やってしもうた…」

「ゾム、ゾム!?何が起こって、え?」

zm「触れてしもうた」

「え…!?」




zm「A、おいで」

優しく光っているゾムが繋いでいた手を離し革手袋を投げ捨てた

触れることは出来ないと思っていたその手でゾムは、私の頬に手を伸ばした

zm「やっとAに触れられるんやな」

「ゾムっ…」

広げられた腕の中に何も考えないで飛び込んだ。
初めて抱きしめられた。初めて触れることが出来た

zm「A、愛してる」

唇にふわりと優しいものが重なった

泣きそうな顔でゾムが私の事をきつく抱きしめられる。

「私もだよ、大好きだよ、愛してるよ」

ゾムを包んでいた光が辺りに散っていく

蛍のように、飛んでいく。

「消えないで!ゾムっ…!!!!」

zm「A、忘れないでな」

「ゾム!!!!」

大好きな翡翠色の瞳から涙が零れていた

zm「愛してる」

「ゾム、ゾム!」

zm「A」

大好きな声が私の名前を呼び、大好きなその顔が私に微笑んだ


ゾムの体が全て消えた頃、辺りには蛍が沢山飛んでいた


「ゾム…」

目の前にはゾムが着ていた服と革手袋、が落ちていた

服を拾い上げ、抱き締めればまだ少し、温かさが残っていた

声が枯れるまで泣いて、大好きな彼の服を何度も抱きしめた。


ゾムがくれた指輪は探しても探しても見つからなかった。

「絶対、忘れないから」


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かみぶくろ - 初めて小説で号泣しました…emさんの好きな人ってスキマ妖怪の人ですか?!気になるぅ… (2021年4月29日 19時) (レス) id: 0442811e47 (このIDを非表示/違反報告)
- 部屋で一人で見てたんですが、泣きました。×××。で二人幸せになってほしいな。 (2020年5月14日 20時) (レス) id: 62683d4e75 (このIDを非表示/違反報告)
クリーパー - え、好きです。 めっちゃ好きです! 近くに友達居たんですけど、部屋出てった瞬間涙が溢れでてきました。 終わり方AもBも好きです! ×××。も素敵でした! (2020年4月27日 15時) (レス) id: 33077900eb (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - secret zoneの君がくれたものが合いそうな作品だな・・・とにかくいい作品でした! (2020年4月23日 10時) (レス) id: 39e636922e (このIDを非表示/違反報告)
彼方。 - 泣いた。は??泣いt(((( 何か物事全部うまくいくわけやないんやなって思いました…大切な人との時間はその人以上に大切にしなあかんわ!!!!!好きです。rbrさんの方も好きですけど、こっちもめっちゃ好きです!!!!!これからも頑張ってくだしあ!!!!!! (2019年9月3日 11時) (レス) id: 16501d6f8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月雛 | 作成日時:2019年8月18日 2時

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