お付きの人は沖田さん【沖田総悟】

episode15 ページ16

貴「はい……」



私が顔を上げると同時に席を立ち上がる沖田さん。


そのまま私を引っ張ってレジまで進み、お会計を済ませると外に出た。



沖「場所、変えやしょうか」



傘を開いて私に差し出してくれる彼。


それを受け取ると、再び手を取られる。



貴「お、沖田さん？歩くのがとても速いです。何処へ行くのですか？」



沖田さんの歩くスピードはとても速くて、引っ張られる私は軽く小走りになってしまっていた。


少し行くと彼がいつの日か教えてくれた公園へと辿り着く。


そこの前に着くと繋がれていた手は離れ、温もりも消えてしまった。



沖「ここで話しやしょう」


貴「はい……」



1番最初にここへ来た時と同じようにベンチに腰掛ける。



沖「で？相談って？」


貴「大した事ではないのですが……。実は私、来月からまた一月ほど京へ行くのです」


沖「そりゃ忙しいぜ。それで？」



私にとってはかなり深刻な話で、本当に沖田さん以外に話せる人がいない問題だった。


けれども、彼はいつも通りの様子で私の話に適当に相槌を打っているような感じ。



貴「私、来年の春には江戸を離れて京の許嫁のお家に嫁ぐんです……。来月もそれの御挨拶でして」


沖「それはめでたいじゃねぇか」


貴「全然おめでたくないのです！」



彼の言葉を聞いて大きな声で反論をしてしまった。


はしたないって怒られるかも……。


とにかく、私が大声を上げるほど深刻な問題なのです。

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