月ノ弟子

一二話 決意 ページ12

Aは黒死牟が去っていった方向を見てゆっくりとへたり込んだ。

黒死牟が傍にいないとAは何をすべきが分からず、自分の存在意義が無いに等しい。今まで黒死牟の言われるがままに生きてきた。黒死牟に出会う前は盗みを働きただ明日を生きながらえるために生きた
何かを目的とし、その過程を踏んだ事も無いAは黒死牟が去った今、何をすればいいのか分からなかった


「俺はこれからどうしたら…」


黒死牟はAを憎くて去ったのでは無い、Aも理解しいた。自分の為だと
黒死牟の行動はまだAには理解できないがそれには意味があると分かっている
Aに冷酷な言葉を浴びせたのも、殺さなかったのも全ては黒死牟の優しさである事、その行動の意味がAには分からずただそれが悔しかった

その時、ふとあの言葉が頭に過った


「ふじ、かさね山…」


黒死牟はそこに行けと言っていた。鬼殺隊に入れと
もしそこに行き鬼殺隊員になれば黒死牟とまた会えるだろうか。そんな些細な期待を抱いた


行こう藤襲山に
そして、鬼殺隊に入って師匠を探す
師匠よりも強くなって、師匠が俺の元を去ったことを後悔させて二度と俺から離れないようにしてやる


Aは決意した




黒死牟の目論見は自分が離れる事によって色々な人間と接しAを人間的に成長させること
Aは黒死牟が離れた事によりある意味人間らしい感情が湧き上がった

それはまるで突然居なくなった恋人を探し求めるような






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