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作り笑いが20 ページ22

Aside

三日月宗近が見習いと入れ違いで現れる。部屋に戻ろうと思っていたがどうも今日は運が悪い。


「おはようございます、三日月宗近様」

三日月「あぁおはよう」

「ご要件はなんでしょう?」


ニコッといつものように笑うと三日月宗近は少し険しい顔をした。


三日月「主や、俺はその笑顔は嫌いだ」

「…そうですか」

三日月「やめては、くれぬか」

「すみません、これが癖なので」


そう言って三日月宗近は先程までの顔とは裏腹に笑った。作り笑いである。

私の作り笑いに関して言われたのは初めてだ。薄々気づいてはいたと思っていたが誰にも指摘はされなかった。


「それで、ご要件は?」

三日月「なに昨日の菓子の礼だ、受け取ってくれ」


そう言って三日月宗近から小さい何かを貰う。開けると色鮮やかな砂糖の塊が入っていた。


三日月「遠征の時に買ってきてな」

「そうでしたか、ではありがたく受け取ります、ありがとうございます」


要件はそれだけのようだから私は部屋に戻ることを行ってくるりと方向を変える。部屋のドアに手をかける時。


三日月「主はこの本丸が好きか」


なんておかしな質問をする三日月宗近。不安なのだろう。


「…好き、ですよ」


紛れもない嘘だ。でも嘘を見抜かれても良かった。だってそうすれば私は気持ちよくここを出て行くことができるからだ。


三日月「俺も主のことが好きだぞ」


そう言って三日月宗近は行ってしまう。笑顔だった顔を無表情にして部屋に入った。

あの言葉はどういう意味で言ったのだろうか。

三日月宗近という刀は最初からそうだ。裏があるように見える。私と同じく何かをひた隠ししているから何も言われない。隠しているということをあえて見せて突っつかれないようにしている。

全く同じことを私もしているから彼が1番に私のことを突っくのだろう。

色々な妄想を膨らませているとズキズキと頭が痛い。

血の付いた報告書だけ別に分けて置いとく。あとのものはファイリングしたり政府に持っていくために鞄につめたりした。

このまま寝てもいいけど見習いに教えなければならないことをやらないといけない。


「私はいつ寝れるんだろうか」


そんな疑問を口にして椅子に座った。

その日以降、見習いは私のところに来ることはなくなった。

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作者名:一ノ瀬ミルク | 作成日時:2022年9月18日 0時

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