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作り笑いが11 ページ13

Aside

ジャー、と流してトイレから出る。気持ちの良いほどに吐いたからどっと疲れが出てきた。全ては鶴丸国永という奴のせいである。

見習いにでも少しあげればよかったと後悔しながら自室に戻った。

窓を開けると今日は満月であった。綺麗な真ん丸の月を眺めているとなんとも言えない気持ちになる。それに夜風も肌寒さは感じなくてどちらかと言えば気持ちが良い風邪であった。


「今日は、とても綺麗ね」


独り言が響いて外を見ながら私は目を瞑った。気持ちがいいからだと思う。それにどっと疲れた。


数時間寝ていたのかもしれない。誰かが私の体に触ってきた。ガッシリとした手に触れられて嫌なことを思い出す。

目を開けてその手を払った。そこには陸奥守吉行がいた。


「っ…如何なさいました?陸奥守吉行様」


すぐに笑って見せれば陸奥守吉行はなんとも言えない顔で私を見る。そして下手くそな作り笑いを見せる。


陸奥守「主が寝ちょっとたから布団に運ぼうと思ったんじゃ」

「…そうでしたか、お手数をおかけ致しました、そして要件は?」

陸奥守「主が居なっちょったからどこいったんじゃと思ってなぁ、あはは」


陸奥守吉行の性格は豪快かつ剛直。優しい心の持ち主だ。だから私のような腐れきった人にはどうも苦手意識が出る。


「すみません、仕事がまだ残っていたので、夜風が気持ちよくて寝てしまったんです、お恥ずかしいです」

陸奥守「そうじゃったか!じゃが、風邪を引くぜよ」

「えぇ、気をつけます」


私のことを確認したら彼はすぐに出て行った。いつもなら真顔になるがそのままなのは誰かがいるから。

それに対してなにも言うつもりは無い。でも頭痛もあって気持ち悪さも抜け切れてない私にとっては鬱陶しいものである。

早くどっか行ってくれないかな。笑顔で仕事してるヤバいやつだろ。

もうどうでも良くなって不貞腐れて私は寝ることにした。明日は絶対に遅く起きてやる、という気持ちで私は眠りについた。

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作者名:一ノ瀬ミルク | 作成日時:2022年9月18日 0時

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