Honey【葵ゆうた】

wink４ ページ5

「…ホントバカ…」



私が小声でそっと呟いたとき。









「誰がバカなの？」









「え…」



後ろから声が聞こえた。



後ろを振り向くと、そこには…



「あ…えっと。」



葵ゆうた先輩。
同じ中学の先輩で、双子のお兄さんとアイドルやってるっていう…



「あの…私になにか用ですか？」



「え？いやー、ちょっと気になって。」



そう言って困ったような笑顔を浮かべる葵先輩。



「あの、葵先輩はなんでここに…？」



私がそう問うと、葵先輩はちょっと考えてからこう言った。



「う〜んとね…」









「君の背中が泣いてるように見えたから、かな？」









なんで分かるんだろう。



話したこともないし、目があったこともない。



でも私は不思議と安心感を覚え、葵先輩に愚痴をこぼすようにさっきの出来事を話し始めていた。



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「ふーん、そんなことが…」



「わかってるんですよ、私が悪いんだって。なんの努力もしてないくせに勝手に落ち込んで…」



私は目に涙を溜め、そう言った。



すると葵先輩は立ち上がり、私の前に立った。



「え、あの…なんですか？」



「一緒に歌おう！」



そう言って両手を広げる葵先輩。
ヘッドフォンを手に取り、私の頭にかけた。



「あ、この曲…葵先輩達の…」



「フフっ、ちょっと宣伝みたいになっちゃうけど。」



葵先輩は深呼吸をし、うたいだした。



「う、わぁ…」



スッゴク綺麗な歌声…！



私の心が洗われていくような、そんな感じ。



いつのまにか私の涙は引っ込んでいた。

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