【ミカグラ】造花の上で踊りましょう (ページ9)

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9.過去と過ちページ9

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「そろそろルーキー戦が始まるけど」

『不参加』

「…まぁ椎原がそれでいいならいいけど、エルナとかにバレるんじゃないか？」

『そこは上手くやるよ、こんなとこで躓いてちゃこれからの先闇しかないよ』

「そうだな、カツラ被って性格も変える徹底ぶりだもんな」

くるみ色のおさげにした髪は、ポイントを叩いて買った本物に近い偽物の髪の毛。

私が一夜で考えた優等生キャラ。

私が何故徹底的に自分を隠すのか、それは私の過去に理由があるから。

『…』

作業部屋(と名付けている作曲をする部屋)の隣にある真っ暗な部屋を眺める

無数のディスクが、床に散らばっている。

ヒビの入っているものや、割れているもの、傷のない新品のようなものまである。

「それ、片付けないのか？」

『…要らない"記憶"かもしれないけど、いつか要る"記憶"かもしれないから、取って置いてる』

私の能力、レコーディングメモリーは自分の記憶や他人の記憶をディスクのようなものに取り出すことが出来る。

取り出した記憶はディスクの中に収まり、自分の中からは抜け落ちる。

私自身も要らないと感じた記憶はこんな風にディスクにして床に叩きつけたり大切に取って置いたりしていた…らしい。

どういう経緯でやったのか、私がなぜ一年留年してここに居るのか、家族はどんな人達だったのか思い出せない。

先生は知らなくてもいいと言っているが、知りたいと思うのは仕方の無いことだ。

『…そろそろ、向き合わないといけないかな』

「…」