【REBORN!】私が消える7回目 third ～骸成り代わり～ (ページ50)

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プリントを慎重に運びつつ、私は疲れを感じていた。

警戒が一日中怠れないからだ。
学校でも、宿舎でも、ほとんどプライベートなく暴力があった。しかも部屋の物を服と教科書以外ほとんど盗まれるし、ゴミを置いていかれる。

油断できないので、大事なあのノートはいつも手に持っていた。今もそう。
ノートは1番下に敷いて持ってるから安心。
が、いつ殴られてもおかしくない。
だから少ししんどいが、手前にダミーの私を分身で歩かせる。自分の気配も消す。これで私に触れられる人なんかいない。

そう確信していた矢先だった。

〈ズドォオン！〉

高等部の玄関入り口で、派手に誰かとぶつかった。
背中から相手はぶつかって来たので、プリントの束ごと前に倒れる。

『いってぇえ！！』

『……』

それはこっちのセリフだわ。
言ってやりたくなったのを、グッとこらえて、散らばったプリントを拾う。

どうせまた嫌がらせ。そう察していた。
高等部まで噂が広がっていたのは知っていた。それに、こういうの初めてじゃない。

『あ、ごめんな！？ケガ、ないか？』

『えっ』

プリントを掴む手を、すくい上げられる。
完全な不意打ちだった。
相手の手が骨ばって大きいことが、すごくドキッとさせられる。

『て、て、手を離して』

『でもオレからぶつかっちまったし、ここ、青くなってるぜ』

『そ、それは』

ズッコ達にやられた跡だ、とは言えない。
私はとっさに手を振り払って、またプリントを集め始めた。

『私は大丈夫ですから、プリント、拾うの手伝って下さい』

『そうだな、すまねぇ』

何百枚と散らばるプリントを、黙々と拾う。それだけに集中する。入り口を通る人が見てることも、気にしてられない。

『それにしても変だよなー、今日はよく床が滑るぜ』

『早く拾ってもらえます？』

『ハハッせっかちだな、おまえは。ちっさい頃からそんなだと、可愛くなれねぇぜ？』

『うるさい』

『つーかこのプリント、わざわざ高等部に運びに来たのかよ？しかもこの量、チビなのにガッツあるな～！この量だから、先生もチップ弾んでくれるだろ』

『チップ？』

『ああ、雑用するとくれるだろ？食事も豪華になる時があるしな！』

何それ、声にならない呟きだった。

『………………もう、いいです』

『ん？……おい、どこ行くんだよ？まだプリント残って……！ノートも！これおまえのだろ…って、おい！』

引き止める声もかまわず、早々に私はそこから立ち去った。