【REBORN!】私が消える7回目 third ～骸成り代わり～ (ページ41)

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スクアーロが死闘に挑んでいるとはつゆ知らず、私は後から合流した職員に自分の部屋を案内されていた。

『この部屋、全部私が使っていいんですか？』

一目で分かる、大部屋だった。
たった二週間過ごすだけのはずだ。こんなに広いところを、私だけが使っていいのだろうか。

『いいの、いいの。ちょうど誰も使ってなかったし、なんて言ったってボンゴレ九代目とつながってるしね』

『そういうことですか……』

お家柄はこの社会じゃ重宝するようで、ありがたくボンゴレにあやかっておく。

『それじゃあ、夕飯はこの部屋に持ってくるから、それまで自由にしててちょうだい』

『はい』

私の返事を聞くと、職員はさっさとその場から去った。
途端に辺りが静まり返る。

『……ふぅ』

私は何よりも先に、ベットへ倒れこんだ。
朝から殺気を飛ばされ、怒鳴られ、ほっぺたをもてあそばれ、心労は募るばかりだった。
まぶたをそっと閉じて、深呼吸をする。

そういえば、ふと気掛かりになってることを思い出した。

何か大事なことを、忘れている気がする
という事。

荷造りの時のピアニストの話、憤怒の炎というものの話、剣豪のテュールにも、どこか聞き覚えがあった。

でも何故だかいつ、どこで、誰から、どうやって聞いたか、というのがゴッソリ抜けていた。

寝返りを打つたびに、分かりそうで分からない、もどかしくてイライラする。

『なにか……当たり前の事』

すっかりくたびれてしまった頃、時計はあっという間に進んでいて、扉がノックされた。

『骸、夕食持ってきたわ。』

『ありがとうございます、今開けますね』

ベットから跳ね起きて、ドアノブに手をかける。
その瞬間、やけに鼻腔がくすぐったい感覚がした。
懐かしい、と鼻が喋るように反応する。

『どう？部屋は慣れた？』

『は、はい。それより、その料理…』

『あー、これ！初めて見るかもしれないわね、これはね…』

職員が説明をする前に、私はその答えが分かった。
その匂いの正体。それから、私がずっと忘れていた【とても大事なこと】

「和食……」

味噌汁、お米のご飯、肉じゃが、お箸。
見た途端になんとも言えない衝動が、目の奥から押し寄せるようだった。

『あら！知ってたのねー！しかも日本語まで上手！さすがボンゴレだわー！』

「………」

【すっかり忘れていた匂い】に全ての記憶が、また鮮明になって脳裏をよぎって行く。
思い出した。

ここって、REBORNの、世界だ。