5 ページ20
『呪いじゃねぇんだ、治せるに決まってる』
『茶化さずに、簡潔に、お願いします』
『こえー顔するなっての』
胡散臭さと、酒臭さがいちいち鼻につくおっさんだ。スクアーロなんかイライラのあまり貧乏揺りが始まっている。
『お前さんのソレは、病気だ。そして、薬で治せる』
『嘘』
『医者が嘘言っても世話ねェだろ。ホントだよ。ただし、完治は難しいがな』
断言するれば、説得力が増す。
その言葉に、何の前触れもなくランチアが、『そ、それが本当なら、治してやってくれ！先生、頼む！』と、突然立ち上がった。
『ランチア…？』
『家族なんだ、大事な。だから、どうにかしてやってくれ…完治は無理でも、マシにすることはできるんだろう？金ならいくらでも払う！だから！』
『ちょっ、お、落ち着いて下さい！ランチア！』
静かに話を聞く姿からの変わり様に、当事者の私の方が冷静になる。珍しく興奮するランチアに戸惑う。けれど同時に嬉しくもあった。まるで私を大事にしてくれてるみたいで、こっそり喜んでしまう。
『そうだぜ、子供より焦ってどうするだよ。話は最後まで聞くもんだぜ』
『……悪い、だか…』
『分かってるさ、お前がどれだけこの嬢ちゃんを大切にしてるか。必死になるのも無理はねェ。でもな、まずは現状を把握すンのが、先だろ？』
『そうです、肝心の病名も聞いてません。それに、治る根拠も。詳しく話して下さい』
シャマルは私にニヤリと微笑み、ああ、と頷いた。
『まず、お前の能力は病名はないが、薬で抑えることができる。話によれば、骸、お前は人体実験によって約六回の蘇生を短期間で繰り返したと言ったな？』
『はい。』
『普通はそんなことしたら、脳へのダメージが大きくて障害が残るんだ』
『でも、私はむしろ思考が早くなりました。習った覚えの無い計算や言語も、実験があったから理解できています』
『ああ……それなんだが、後天性サヴァン症候群、の可能性がある。』
『サブァン？』
聞きなれない単語に、私も隣のランチアも首をかしげる。
『ナヴァン症候群、な。これも脳の障害の一種なんだぜ。異常な記憶力と天才的な能力が生まれる。今まで興味がなかったことにも、知りたいって思ったり、深く考えるようになった覚えはねェか？』
『……心当たりはなくもない、ですが、あの時はそうするしか生きていけませんでしたから』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杞憂 | 作成日時：2015年8月20日 22時
