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◆◆◆◆◆
しばらくして、空が暗くなってきた頃。
ザンザスとスクアーロは、任務と【ある用事】を終えたところで、骸の待つであろう部屋に向かっていた。
『う"お"おおい……本当に良かったのかァ。アイツをここへ呼んで』
『……黙ってろ、カス』
そう言ってスクアーロの台詞を防いだ。
するとその時、ふと前の方に人影が見えた。
『な、……』
まさか、と思うスクアーロ。
そしてスクアーロがそう思うよりも早く、銃をリロードするザンザス。
瞬く間に迷わずその人影に撃ち放った。
『てめぇ………出るなっつったろーが』
『げ』
当然、人影は突然の攻撃に体を硬直させた。
顔が引きつっつている。
『っ、！』
が、次の瞬間には何を思ったのか、ザンザス達と反対方向へと逃げ出した。
『っざけんな………』
それを見たザンザスは、そう呟いたあと両手に銃を構えて、
追いかけていった。
『う"お"おおい……』
溜息を小さくもらす。
それから報告のためとりあえず、あの部屋へ戻ることにした。
【アイツ】を残してきた客室へと。
◆◆◆◆◆◆◆
『まて、鼻血！！』
『ひっ！！』
鬼の顔をしたザンザスに呼ばれ振り返ると、骸はさらに顔を引きつらせた。
一方それが見えたザンザスはもっと眉間に皺を寄せて、銃を撃った。
『……！！』
しかし、そんないつものことをしていても、何故かザンザスは違和感を感じていた。それも含めて険しい顔をした。
違和感の訳。それはもうザンザスも気付き始めていた。
骸が幻覚を使わないこと。
だからいつもより追いかけやすく、変な違和感が付きまとう。
『………チッ』
小さく舌打ちをしつつ、銃を骸にかすめながら追いかけた。
しばらく激しい鬼ごっこが続いた末、ついに行き止まりの所へ骸を追い詰めた。
『……はぁっはぁ』
骸が肩で息をして顔を伏せる。
『………』
無言で銃口を向けてみた。
『ひぃっ！！』
いつもの弱々しい悲鳴をあげる。
『す、すいません、ホント、絶対出ないって言ったのに、でも、その、』
『…………』
いつもと同じような言い訳だ。
しかし決定的にいつもと違うことがあった。
それは、いつもと同じセリフをいつもと同じ怯えたように
下を向いたまま
ずっと繰り返していたこと。
『…おい』
頑なに顔を隠そうとする骸。
肩に手を置く。
『あ、やめ、今はっ』
顔を覗き込んだ。
その瞬間ザンザスは目を見開く。
『……みな、いで…』
骸は、泣いていた。
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作者名：杞憂 | 作成日時：2015年8月20日 22時
