ファミリー【family】�� 家族。家庭。「ファミリーカー」 ��族。群。一門。「ファミリーの一員」 ページ1
口喧嘩というのは、いつでも些細なことから始まる。そしていつの間にか謝るタイミングを見失ってしまうものだ。
私はスクアーロの持つ携帯を睨みながら、そう痛感する。
《もし、骸を見つけたら教えてくれ！》
『………』
呆れたような顔をするスクアーロに、言わないでと必死に訴える。
しかし所詮それは子供の戯言だ。
『う"お"お"おおい……荷物に紛れ込んでたぞォ』
『あ！！』
あっさりと言われてしまった。
『な、なんで言っちゃうんですか！？』
『当たり前だろうがァ！言うに決まってんだろォ！！』
『………っ、』
そう反論されて、たまらず私はスクアーロから携帯を奪い取った。
奥から、大丈夫か！？と騒ぐランチアの声が聞こえる。
『私、誰に何と言われようともう帰りませんから。
異常呼ばわりするなら結構。これからはどうぞ好きな時に好きなだけおっしゃってください。
ただし金輪際、私に関わらないでくださいね。
ではさよなら！！』
丁寧にそうまくし立てて、一方的に通話を終了させる。
そして息を荒らしながらスクアーロに携帯を手渡す。スクアーロも唖然としていて、目を丸くしたまま。
しばらく沈黙が続いた。
と、そんな時ザンザスが口を開いた。
『おい、鼻血』
『鼻血じゃないです、骸です』
『あ"あ"？』
『すみません、なんでもないです、ごめんなさい』
すぐさま謝ると、ザンザスは舌打ちをして続けた。
『……メシ食ったのか』
『え』
緊張した分、その言葉が意外すぎて口を開けて固まった。けれど、早く言えと睨まれたので、慌てて今までの記憶を辿る。
確かランチアから逃げてきたあと、ちょうど荷物をまとめているお手伝いさん達を見つけた。だから、とっさにそこへ紛れ込んで、ボンゴレの屋敷に着くのをじっと待っていた。
いい策だとおもった。
けれど着いたら着いたでザンザスに撃たれそうになって、悲鳴あげてしまって、スクアーロに見つかって今に至る。
うん。そういえばご飯を食べていなかった。
(グゥ〜……)
すると気付いた途端、お腹の虫が声をあげた。
『……』
『……』
『……』
またも変な沈黙が漂う。
が、それはすぐに破られた。
『……カスが』
『すみません』
『こい、残飯ならくれてやる』
『！！』
さっさと踵を返して廊下に出る。
私は一瞬目を見開いたが、スクアーロに背中を押されて前に進んだ。
この言葉は、ここに居ていいという意味なのだろうか。そう考えつつ、ザンザスの後について行った。
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作者名：杞憂 | 作成日時：2015年8月20日 22時
