【第5人格】籠の鳥【短編集】 (ページ14)

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安眠【傭兵】ページ14

※Aさんとナワーブ君は付き合っている設定です！

寒い。寒過ぎて凍え死んでしまいそうだ。この荘園には部屋に暖炉のひとつも無い。唯一の避難場所だった毛布の中も、今はキンキンに冷やされていて、氷の中のようだ。手足の感覚は寒過ぎてもう無い。
そんな時、ひとつの光が私の頭の上で弾けた。

「そうだ！ポッポちゃん！！」

カートさんに小さくなれる本を借りて、イライさんの梟に包まれて寝よう！

では早速カートさんの部屋と、イライさんの部屋にお邪魔しよう。

私はなんて天才なんだ……！と深夜のテンションでおかしくなりながら脱ぎ捨てられていたブーツに足を突っ込んで、部屋の扉を開ける。

その時、「わあっ！？」という間抜けな声が聞こえた。

急なそれに私も驚いて後ろに後退りするが、雑に足を突っ込んだブーツによってバランスを崩した。

「っと！」
その体が地面激突寸前で支えられて、顔を上げると焦った表情のナワーブがいた。でも今日は何時もの格好じゃない。寄生という青い狼のような衣装。毛深くて今すぐその毛皮を剥ぎ取りたいくらいに暖かそうだ。

ぽけーと眺めていると、ナワーブは私の事を起こしながら、
「あー、びっくりした。驚かせんなよな。てかこんな時間に何部屋の外出てんの？」
眉を寄せながら言ってきた。

「あー、寒いからポッポちゃんに包まれて寝たいと思って」
「ふざけんな」

言い切る前に言葉を被せられた。
「え？何で？鳥の体温は40度で暖かいじゃん」
反論しようとすると、だからー！と機嫌が悪そうな声で遮られる。
だから何よ、と言い返そうとした時、グイッと肩を掴まれて、引き寄せられた。
大きな狼の被りものが少しズレて、緑色の瞳と目が合う。瞬間に頭にあった強気な言葉はどこかへ飛んで行ってしまった。
そんな私なんてお構い無しに、
「梟がどうこうじゃなくて。俺は深夜にA
が部屋の外に出て、他の男の部屋に行こうとしたのが嫌なの」
大人が子供を叱るような口調で言われた。

「寒いんだったら俺と寝ればいいだろ」

次の瞬間足が地面から離れて、視界がゆらりと動き出す。
近いナワーブの顔。自分が姫抱きにされている事に気がついた。瞬間にぼっと顔に火がついたのを感じる。

連行された先は私のベッド。
ナワーブは器用に毛布を捲って、露になったシーツの上に私は転がされた。そして毛布が掛けられたかと思うと、その中にナワーブも入ってきて、苦しいほどに抱きつかれた。