【終幕】 ページ10
寝台に横たわる自分を見つめて、嗚呼、死んだんだなって再確認する。
周りにいるのは武装探偵社員とポートマフィア数名。
確か、敦君が私を武装探偵社の女医さんの元に連れ込んだんだったな。
女医さんは瀕死の重傷を治せるそうだ。
白衣を纏ったその人は首を横に降る。
それは私が戻ってこない事を表している。
「姐様!!姐様!起きて、姐様ぁ!!」
鏡花は私の上に倒れ伏す様に頭を乗せ、わんわんと泣く。
辞めてくれ、君の顔が台無しだろ……?
「わぁぁん!ばかばかばかぁぁ!!」
何故此処に居るのか、エリス嬢は寝台を小さな手で叩きながら泣き噦る。
エリス嬢、綺麗な手に傷が付きますよ。
「っ…何で……っ!……私が……非力な、ばかり、に……」
壁に寄りかかった太宰君は、片手で顔を覆い、空を仰いでいる。彼なりの泣かない対策かな?
ちゃんと鼻をすする音は聞こえたけどね。
「んでだよ……返せよ!!何で此奴が死ななきゃなんねェんだよ!!」
それに掴みかかった中原君。今にも泣きそう、ってか泣いてる。
辞めてくれよ、私が居ないんじゃ、君達の喧嘩は収まらないだろう?
「人虎……何故目の前にいながら助けられぬ!!貴様が!!もう少しでも早ければ……っ!!」
芥川君も中原君達同様、敦君と怒声を飛び交わせている。
君達は異能力戦争に発展するから辞めてくれよ。太宰君、その時は宜しく。
「分かってるんだよ!!僕だって助けられるなら助けたかったに決まってるだろ!?」
それに反論する敦君。
医務室が壊れるぞ、辞めてくれよ、本当に。
四人分の怒号と、二人分の泣き噦る声が飛び交う。
張り詰めた医務室の空気に声が木霊していく。
「なぁ、お願いだ。辞めてくれよ……こっちまで悲しくなるじゃないか」
呟きは誰にも聞かれることはなく、消えていった。
「『彼女が、死んだ』」
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…*☆紫猫姫☆*…(プロフ) - ライさん» コメントありがとうございます!番外編でリクエストも受けようかな、と思ってましたので、時間があれば書いてみますね! (2018年11月11日 14時) (レス) id: 8cbbc17253 (このIDを非表示/違反報告)
ライ - 広津さんの言葉で泣きました。最高です。このシリーズで福沢社長など見てみたいな、なんて思いました。すごい好きです。本当にいい作品です! (2018年11月11日 14時) (レス) id: d70ad14a1b (このIDを非表示/違反報告)
…*☆紫猫姫☆*…(プロフ) - 市さん» ありがとうございます!黒蜥蜴と樋口ちゃんがリクエストされたので、元から書く予定だったのをなんか頑張ってしまいました笑 (2018年11月6日 18時) (レス) id: 8cbbc17253 (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - 黒蜥蜴のところで……涙腺が……。私も似たような小説を書いた事があります。でもここまで泣ける作品にはならなくて……本当に面白かったです。 (2018年11月6日 18時) (レス) id: 1ef65eb65d (このIDを非表示/違反報告)
…*☆紫猫姫☆*…(プロフ) - アカネさん» コメントありがとうございます!真逆泣いてくださる方まで現れるとは……嬉しい限りです! (2018年11月5日 18時) (レス) id: 8cbbc17253 (このIDを非表示/違反報告)
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