愛は海に沈む花 (ページ1)

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どんな契約を交わせばページ1

「フロイド、今日もお仕事お疲れ様です。
　どうです。温かい紅茶でも飲みませんか？」

笑顔で聞いてくるジェイドにそっぽ向く。

「…………いらない。着替えてくる。」
「おやおや、そうですか…。」

頭を掻きむしってジェイドの横通って
自分の部屋まで早歩きで戻る。
　
最近、スッゲー苛々する。
自分でも原因は何か分かってるけど。

だって、ジェイドってば小エビちゃんの話ばっか。
そりゃ小エビちゃんはちっさくて可愛いよ？
でもさぁ、俺もう聞き飽きたんだよね。

今日ランチをご一緒したんですとか。

監督生さんの寝癖があまりに凄く、
笑ってしまって大変な事になりましたとか。

それ、俺になんの関係があんの？
って毎回思ってるけどさ。
まぁまだ適当に返してるだけ及第点じゃね？

俺のキモチなんか、全然知らねぇんだから。

「ハァ……もう、マジでウザい……」

小エビちゃんの話しかしないジェイドも
小エビちゃんに嫉妬してる自分自身も。

ズキン

「…………ッ？！」

ズキン

「ッ……！！ゲホッ、ゔあ…っ？？」

ズキン

「ッゔ、ぉえッ、あ゛
　〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ！！！」

独り部屋でむせ返る。
涙なんて存在感じとる暇もなく、
夢中で花弁をひらひらと吐き続ける。

収まった頃には、もう
俺のココロは折れていた。
手折られちゃった花みたいに、無惨に。

情けなくなるくらいに。

「ッ………、あぁもう……超ウザい…！！！」

身近にあったクッションだか何だかを
癇癪起こした赤ちゃんみたいにぐずりながら。

「……バカみたい。」

荒い呼吸が静かな部屋の中で、ずっと。

もう、誰でも良いからさぁ。教えてくんない？
どうしたらこの想いは報われるワケ？
どうしたらこの病は治ってくれるの。

「もぉ、いっそのこと…
　アズールと契約でもしちゃおっか…？」

でも、契約するとしたら
何を求めて何を代償に払うの？
ジェイドの愛情を求めて？
こんなボロボロな俺が何を代償にできんの。

「でもさぁ、限界なんだよねぇ…。」

契約してジェイドの愛情を求めたくなる程
弱りきって、陸に打上げられた小魚みてぇ。

いっそこの想いを契約の代償に
何か違うものを求めて得ればいいかも。

「…………………。」

……この想いに等しいくらい
価値がある望みなんて、あるっけ。

「…………ねぇ、もぉ……。
　俺にどうしろっていうのぉ………？」