59 ページ9
.
ドアを閉めると北山さんは、
後ろからギュって私を包んだ。
「 ごめん、俺のせいで… 」
少し震えている北山さんの手。
…北山さんは私と居るといつも辛そうで、
それを見ると私も苦しくなる。
「 …またAに辛い思いさせた、ごめん…っ 」
後ろから沢山謝る北山さんの顔は見えない。
…でもまた辛そうな顔、してるんでしょ?
「 俺…もうAに会わない方が、良い…?」
いつもは強気で少し強引な北山さんが、
低く掠れた声で私に聞く。
「 A…昨日さ、俺に、
また嘘ついたって言ったよな…?
…前の事は思い出してないと思うけど、
俺の嘘でAを2度も傷つけたんだよ、俺… 」
…やっぱり私の口から出た、
また
って言葉の意味通り、
前にも何か私達はあったんだ、ね…
「 俺、どうしたら良い…?」
…多分北山さんは泣いている。
でも、その涙を拭えるのは…私?
彼に女性の影があるのは間違いない。
それに私と居ると…辛そうなんだよ、北山さん。
それにあなたは気づいてる…?
自分が辛い思いしてるの…気づいてる、の?
『 …会うの、やめましょう…か 』
私の辛かった過去が、
どんな理由で原因で、辛かったのか。
そんなの分からない。
相当辛かったかもしれない。
…でも、
その辛さの分も、
今の北山さんに負わせてる、気がするの…
…そんなの、よくない。
北山さんは私から離れた。
「 …分かった、ごめん、な 」
また揺れている瞳。
…でも、もうその揺れは、
きっと私と会わなければ無くなるから。
最後まで、辛い思いさせてごめんね…
『 …さようなら 』
パタン____
ドアが閉まってすぐ、
私の我慢していた涙が零れ落ちた。
この涙を見たら、あなたは戻ってきてしまう。
…もう、お別れしよう。
過去も今もこれからも、
私の存在がきっとあなたの負担になっちゃうから。
そしてこの瞬間、
少しの頭痛と共に、
私は全てを思い出したんだ。
『 …っ、みっ、くん…ごめ、ん、なさい…っ 』
話し合う事が出来なかった過去、
それが原因でぶつかり合ってしまった。
彼の嘘の意味、何も聞けないまま。
何も分かち合えないまま__
私の大切な人は、
私の隣から居なくなってしまった。
.
1028人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月下香(プロフ) - clubwonderさん» コメントありがとうございます(^^) 最後は少し自分の中でも駆け足になってしまったかな、と思いましたが…完結できて良かったです!番外編書いた時には是非読んでくださると嬉しいです。 (2018年8月16日 5時) (レス) id: d026112355 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - 完結?お疲れ様です!ただ終わってしまったー…という寂しさが。番外編楽しみです!! (2018年8月16日 4時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
月下香(プロフ) - cherryさん» 頑張ります!ありがとう(^^) (2018年8月15日 23時) (レス) id: d026112355 (このIDを非表示/違反報告)
cherry - 月下香さん» ありがとうございます!じゃ、今からタメにしまーす(笑)。更新頑張ってね!応援してるよん! (2018年8月12日 21時) (レス) id: 2a489f585b (このIDを非表示/違反報告)
月下香(プロフ) - cherryさん» cherryさん、コメントありがとうございます(^ ^)大好きって言ってもらえて光栄です!タメ口のお話、覚えていますよ!是非宜しくお願いしますっ (2018年8月12日 14時) (レス) id: d026112355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月下香 | 作成日時:2018年8月1日 18時