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【ホワイトデー】01(弟) ページ3

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やばい・・・。

Aを捕まえられない。

どうしてだか今日に限って忙しそう。



何日も前からネットで探したバレンタインのお返し。

意気揚々と昨日店に行ったら売り切れ。
あっちもこっちも、売り切れ、売り切れ、売り切れ。

やっとの思いで買えて、いつ渡そうかって
朝からソワソワしてんのに。


「A」

「弟者くん、ごめんね、これから委員会なんだ」

「そうなんだ、頑張って」

「ありがとう」


あー・・・Aが行ってしまった・・・。

朝も昼も捕まらない。
放課後ならって声をかけたのに
まさかの委員会なんて・・・。



「はぁ・・・」



ついてない。


兄者の教室に行ったらサッカーして帰るとか言うし・・・

ゲーセンでも寄って帰ろうかな。


そんなこと考えながらとぼとぼ教室に戻って
荷物をまとめる。

カバンの中には可愛いラッピングの袋。


「Aに渡したかったな・・・」

明日じゃ意味無いんだよな・・・。

そう思って呟いたら教室のドアが開いた。



「あれ?弟者くんだ」

聞き慣れた声。

「え・・・A?」

入口にはAが立ってる。
たしか委員会だったはず・・・

「委員会は?」

「資料配布だけだったからもう終わっちゃった」

お昼休憩の時でもよかったのにね、って笑いながら
荷物をまとめるA。


がんばれ俺!今しかないぞ!


一日中Aと話したくてたまらなかったのに
いざ目の前にすると緊張してしまう。


「まだ帰らないの?」

「へ?!あ、帰る!」

声をかけられて慌ててカバンを持つけど・・・

カバンの中にはバレンタインのお返しが入っている。

「・・・・・・・・・」

「弟者くん?」

黙った俺を不思議そうに見つめるA。




「A・・・」

意を決してカバンから取り出したものを差し出す。

「・・・?」

「バレンタインのお返し・・・。その、ほんとは
もっと早く渡したかったんだけど」

「嬉しい・・・!あっこのお店、
すごく人気って雑誌に載ってた!」

「そうなんだよ、どこも売り切れでさ・・・
でもどうしてもAにあげたくて・・・」


弟者!言うんだ!男を見せろ!


「A、俺の気持ち受け取ってくれる?」

「・・・!」

Aの顔がはっきりわかるくらい赤くなって、
小さく縦に首を振る。

「もちろん。弟者くん、ありがとう」





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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年3月12日 0時

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