【無題】06 (ページ2)

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【夢でもし逢えたら】02(弟) ページ2

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『っていうことなんだ』

『うーん･･･』

目の前に座っている赤髪の男性は弟者さんと言うらしい。
彼曰く、数週間前から度々この夢を見るそうだ。
そしてこの夢を見る度に私に会って
話をしたり遊んだりした、とのこと。

でも不思議なことに私はそれを覚えてない。

とりあえず、この人が変な人じゃなくてよかった。

信じ難いけど、夢なら好きに遊んでもいいんだよね。

『それで弟者さん･･･』

『あ、俺のこと、くん付で呼んで？
Aはそう呼んでたから』

『そうなんだ･･･わかった、弟者くん』

なんだか不思議な会話だな、と思いながらも
改めて名前を呼べば弟者さん、もとい弟者くんは
嬉しそうに笑った。

『A、この後どうする？』

『うーん、なにができるかわからないからなぁ･･･』

『なんでも出来るよ？』

『なんでも？なら遊園地に行きたいとか、
海に行きたいとかでも？』

『うん、遊園地行く？』

なんでも･･･。
そっか、夢の中だから好きにできるのか。

『うん！』

大きく頷くと周りの景色が一瞬霞んで
次の瞬間に私たちは遊園地のベンチに座っていた。

『す、すごい！』

『頭の中で強く思ったらできるんだ、
ちょっと前にAが教えてくれたよ』

『そうなんだね、ごめんね覚えてなくて･･･
今までは覚えてたみたいなのにね』

『･･････そうだな。Aが謝らなくてもいいよ。
なに乗る？俺ジェットコースター乗りたい！』

私の言葉に弟者くんの顔が一瞬曇った気がしたけど･･･
気のせいかな。

そのあと二人でジェットコースターに乗って、
お化け屋敷に入って、ポップコーン買って･･･
アトラクションというアトラクションを満喫。

一息つこうとベンチに座ったら一気に眠気がやってきた。

『弟者くん、私なんだかすごく眠たくなってきた･･･
夢の中なのに』

『俺も。夢から覚めるんだよ、毎回こうだから。』

『そうなんだ･･･』

『A、』

『ん？』

名前を呼ばれ、眠気と戦いながら弟者くんを見る。
不意に手を取られ何かをつけられた。

『これ･･･』

手首には細めの皮のブレスレット。

『今度夢でもし逢えたら、俺のこと覚えててほしいから』

ちょっと寂しそうで、照れくさそうな顔。
私の胸が少し鳴る。

『うん、覚えてるよ』

その言葉を最後に目の前はゆっくりと暗転した。

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