第31話 ページ34
ーAsideー
「……おはよ」
目を擦りながらリビングに入った
「おう、朝飯出来てるぞ」
その顔は、昨日とは違った
「兄さんが作ったの…?」
「驚くなよ、俺だってこの位出来る」
いや、意外だったんじゃなくて
昨日あんな様子だったから…
「何作ったの?」
「カレー」
「え''っ!朝から?!」
「朝カレーだ!」←
そんなドヤ顔で言われても…←
「えー……まあ良いんだけどさぁ」
カパッ
ん、ちゃんと美味しそう
「…っと、いただきます」
…美味しい
まあカレーは今までも作って来てるだろうから失敗するわけないし
「兄さん、何読んでんの?」
「競泳の雑誌。毎月買ってるだろ」
「あーはいはい、本棚にズラーッと並んでるヤツね」
…自由に泳げない分、色々と研究してるんだよね
いつかまた、思い切り泳げるように
「肩治ったら、新しい水着とか、一緒に買いに行こう」
「お前と?」
「当たり前!他に誰と行くの」
分かってるくせに
「………一緒にいたらな」
「…どういう事?」
「なんでもねえよ」
ペラッ
そう言った後、雑誌のページをめくった
「…A、リンゴあったから…剥いてくれ」
「えー、食べるの?」
「ああ」
カチャ…
スプーンを置いて、立ち上がった
リンゴなんて…何であるんだろう
「自分で剥けば良いのに…」
あ、これだ
結構立派な…
…リンゴの旬って、いつだっけ
シャリ…シャリ
「あ、そういえば…お袋たち、旅行が長引くってよ」
兄さんが言った
「え、何で?」
「さあ?それだけ伝えられたから、分かんねえ」
「ふーん…」
今まではそんな事無かったのに…
っていうか、兄さん受験シーズンだし、卒業間近なのに…
なんでそんな何日も…
「はい、終わり」
机に置いて、また椅子に座った
「ん…」
シャリッ
もそもそと起き上がって、雑誌を置いて兄さんが食べた
「美味いな、これ」
「剥く前から美味しそうだったからね」
リンゴ…か、いつ以来だろ
子供の頃は私が好きだったからよく食べてた
甘いのが好きで、母さんが蜂蜜をかけてくれて…
リンゴを食べる時は、決まって兄さんと一緒だった
…なんか、昔に戻ったみたい
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