イケメン転校生は超ドSでした【そらる】

よんじゅう ページ41

『…いちのせくん…？』

息を切らしてこちらにやって来る一ノ瀬くん。

ずいぶん遠くから走ってきたのだろうか。額に汗が滲んでいる。

『どうしてここに…？』

「いいから。取りあえず帰るぞ」

駅の外まで来ると、辺りはとっくに暗くなっていた。

静けさが、さっきの出来事を思い出させて、また泣きそうになる。

「ったく…泣くなよ、」

『わっ…！？』

気づいた時には、一ノ瀬くんの大きな胸の中。

優しい体温に、かああっと頬が熱くなる。

「…お前は泣いてるより笑ってる方が、その…可愛いし、」

『…！』

もうつま先まで赤くなってしまったような気がする。

いつになく優しい一ノ瀬くん。カッコイイなんて思ってしまう私は、やっぱり軽いのかもしれない。

『…一ノ瀬くん、私ね、』

「いい。無理するな」

どうして、どうしてなんだろう。

相川くんにフラれたばっかりなのに、こんなにも一ノ瀬くんに惹かれてしまうのは、、どうして？

一ノ瀬くんを見上げると、彼も私を見つめていた。

その表情は、何かを決意したかのように見える。

「A、俺さ」

『…うんっ、』

「やっと気づいたわ」

一ノ瀬くんが私の両肩をつかみ、ふわりと微笑んだ。

甘く甘く視線が交わり、そして一ノ瀬くんが口を開いた。

・

「俺、お前の事、…好きだ」

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