イケメン転校生は超ドSでした【そらる】

さんじゅうよん ページ35

『ひ…広い！！』

遊園地に着いてからの第一声は、まさにこれだった。

広い。広すぎる。もうなんか、とりあえず、広い。

「でしょ？乗り物もたくさんあるんだよ」

『乗りたい！！乗ろ乗ろ！！』

「…ふふ、ノリノリだね」

始終はしゃいでいる私を見、相川くんは私の頭を軽く撫ぜた。

オープン直後という事で、結構な人口密度だ。

「はぐれないように」と何処かで聞いたことのあるようなセリフと共に、私の右手は握られたまま。

＿＿＿くすぐったいけれど、ちょっぴり嬉しかったり。

「A絶叫系乗れる？」

『…いやぁ、ええと…』

「よっし、じゃあ乗ろっか！！」

『え、ちょ、やめろおおおお！！』

・

「Aこれ似合うよ」

『…これ、サルのストラップですけど』

「え〜…Aにそっくりで可愛いと思うんだけどなあ…」

『けなしてるよね？』

・

「ん、ほっぺにクリームついてるよ」

『ふぇ！？あ、ありがと…』

「…おいしそう。Aの一口頂戴」

『…は、はい、どぞっ…///』

「…暗くなってきたね」

『そうだね、』

楽しかった時間も飛ぶように過ぎ、気づけば空も赤くなってきていた。

お互い離れるのがもどかしくて、どちらともなく指が絡み合う。

「…そうだっ！！」

『うわあ！？ど、どうしたの？』

「観覧車！！観覧車乗ろうよ！！」

『ん、いいよ』

グイグイと私の腕を引っ張る相川くん。

夕焼けに染まった彼の横顔が、少し、ほんの少しだけ、寂し気に見えた。

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