イケメン転校生は超ドSでした【そらる】

にじゅう ページ21

『…ぅわっ、今何時！？』

例の悪夢にうなされ、がばっと飛び起きる。

冷や汗でびっしょりの顔をぬぐいながら時計を確認すると、まだ６時だった。

『ふぅ…よかった、』

今日は怒られなくて済むぞ、と軽くガッツポーズ。

昨日はお言葉に甘えさせてもらえたけど、今日からはいつも通り荷物を持たなきゃならない筈だ。

軽く身支度を済ませ、スマホ片手にリビングに入った。

家の中は、いつも通り空っぽ。

唯一の望みも、卓上に置かれたメモに全て打ち砕かれてしまう。

〔今日は出かけてくるから、晩飯はこれで買ってこい〕

『…出かけるって、どうせ…』

その先は敢えて続けず万札を引っ掴み、食パンとコーヒーを流し込む。

ちゃんと食べていかないと倒れるしね。いつも昨日みたいな事が起こるとは限らないからね。

ピコン♪

(あっ…、一ノ瀬くんからだ、)

開いてみると、彼らしく素っ気ない文字が並んでいた。

一ノ瀬くん朝飯食えよ。今日からはちゃんと荷物持ちしてもらうから

『ふふ…、ちゃんと食べたよ…っと』

返信しつつ時計を見やると、いつの間にか五分前になっていた。

今日はちょっと早めに出よっかな、と鞄を手に取り、玄関ドアを開けた。

・

「何で一ノ瀬くんがいる訳？」

「誰と付き合おうと、アイツは俺の荷物持ちだけど？」

＿＿＿＿もう、最悪。

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