イケメン転校生は超ドSでした【そらる】

じゅうに ページ13

教室に入るとすぐに、私たちに視線が集まった。

…………正確には、一ノ瀬くんに。

「あっ、一ノ瀬くーん！！おはよー！！」

「……おはよ」

面倒そうな一ノ瀬くんと、「きゃー♡」と黄色い悲鳴を上げるイケイケ女子たち。

何ていうか…温度差が酷いね。

一週間が経過し、一ノ瀬くんの人気は衰えるどころかますます急上昇している。

早速ファンクラブが結成され、なんでも首席は生徒会長らしい。

このままの勢いだと、学年一のモテ男と崇められてきた 相川くんをも抜かしそうだ。

＿＿＿＿ただ、鈍感なのか天然なのか、本人は自分のモテっぷりに全く気づいていない。

(よくまあ私叩かれてないよね…)

そう。いじめられてないのが本当に不思議なぐらい。

はぁ、と軽くため息をつきながら、一ノ瀬くんの鞄を隣の席に置いた。

「おい、チビ」

『チビって呼ばないでってば』

ここで拗ねたり怒ったりすると、彼が喜ぶことは学習済みだ。

わざと無表情で返事を返す。

「次の体育さ、荷物持ちいいから」

『…へ？』

「着替えあるし。あ、それともお前、俺の着替えシーン見たいわけ？」

『んなわけないでしょっ！？』

思わず叫び返すと、一ノ瀬くんはくすくすと意地悪く笑った。

このドS野郎め、と睨みつけ、おとなしく荷物の整理をすることにした。

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