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……のつもりが。 ページ17

「60点。君が抱きついてきた時は驚いたよ。けど、君の真剣さからして、きっとハニートラップの成果を見せてくれるんだろうと思ってな。」

「……はぁ。」

え、意図が伝わってない?私、あんなに勇気出したのに?あれ、降谷さん鈍すぎでは?

今目の前で起こっていることを理解しきれなくて軽く混乱していると、降谷さんはさっきのことについて話しだした。

「まあ、君の努力は認める。君と僕の関係を引き合いに出したのはよかったし、前よりは成長してると思った。ただ……」

その後もいくつか指摘された。……でも、私はハニトラで彼に抱きついたりキスしようとしたりなんてしていない。あくまで私としての本心を伝えたのに。


「ま、待ってください。さっきの、別にハニトラじゃなくて……」

と言いかけたところで、ふと冷静になる。

私、もともと降谷さんの足手まといになりたくないって思ってたんだ。断られるって、そのつもりでいたのに、なんで私こんなに残念に思ってるんだろう。
たとえ、未練がましくさっきのは私の本心だと言ったところで、降谷さんに余計な負担をかけさせてしまうだけだ。自分を好きになっていた部下なんて、面倒そのもの。

……それなら、いっそこのまま終わらせてしまったほうがいい。この気持ちがきっと失恋の気持ちなんだと言い聞かせて。


「……鳴海?どうした?」

「……ふ、降谷さん、もう終わりですか?」

「そうだな。僕からみた感想は大体伝えたな。」

「じゃあ、私帰りますね。適当にタクシー拾うので、心配しないでください……。」

そう言って部屋を出ようとしたら、降谷さんに腕を掴まれた。今、私どんな顔してるかわからないから、本当は早く離してほしいんだけど、少しだけ嬉しいと思う自分もいた。

「……な、何ですか?言い忘れたことでも?」

「鳴海、こっちを向け。……部下の異変くらい僕にもわかる。」

やっぱり、降谷さんから見たら私はただの部下なんだ。
今私がどんな顔をしているかわからなくて、本当は振り返るのが怖かったけど渋々後ろを見た。笑顔笑顔と心の中で必死に唱えて顔を作りながら。


「……異変なんて。いつも通りですよ。それとも他に何かありましたか?」

「……いや、なんでもないよ。気にしないでくれ。」

降谷さんは少しだけ固まっていたものの、すぐにパッと手を離してくれた。きっと上手く笑えたんだろう。
よかった、あとは私が普通にできれば彼に心配をかけずに済むんだ。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年4月27日 22時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります!楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください!たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!頑張ります! (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月乃 | 作成日時:2019年10月6日 18時

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