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世紀の大告白 ページ16

「……降谷さん、私……」

降谷さんの力の強さについ涙が滲んでしまっていたが、気にせず目で訴える。しばらくして降谷さんは、はぁ……とため息を漏らした。

「……わかった、話は聞いてやる。」

「ありがとう、ございます……。」


と言って、彼と近い距離のまま数分。……こう、改まって言えと言われると羞恥心がそこそこあるわけで。もういっそ、さっきみたいに勢いで言ってしまおうと思って、トンと彼の肩を押した。案外簡単に倒れるので不思議には思ったものの、それを気にするほど自分の心に余裕はなかった。

「あの、降谷さん……。前におっしゃいましたよね、『私とはキスしない』って。」

「ああ。確かに言ったな、それが鳴海との線引きだと、僕は思っている。」

「……ですよね。降谷さんがそうやって私を部下として大切にしてくれているって、ちゃんとわかってます。」

降谷さんは何も言わずに聞いてくれていた。そのせいで、こっちはやたら緊張してしまう。ついに言ってしまうんだと思うと、無意識に握っていた手にさらに力が入った。

「……でも、私欲張りなので、ずるい人間なので、もっと欲しくなっちゃうんです。部下としては嫌なんです!だから、……キ、キス、したいんです!降谷さんと!」

降谷さんは意外にも何も言わない。無言の同意、ではないよな?心の中では恥ずかしくて死にそう、と思いながらもこのままキスしてしまえ、とも思っていて。迷っていると、降谷さんが困ったように私を見上げた。

「……終わりか?」

「い、いえ!まだです!」

降谷さんの言葉で本当に覚悟を決めた。すーっと息を吸い、少しずつ顔を近づける。緊張で唇とか震えてきた気がした。近づくほど、自分の心臓の音はどんどんうるさくなって。いや、本当降谷さん顔綺麗だなぁ、かっこよすぎて心臓もたないかもしれない……。

あと少しで唇が触れるというところで、ついに恥ずかしさが勝って目を閉じた。恐る恐る顔を近づけると何かにぶつかった。
でも、その感触は絶対に唇ではなくて……







「60点、だな。」

目を開けると、降谷さんの手が私の口を押さえていた。驚いて目をパチパチさせているとその手は外され、強制的に起き上がらせられた。

「えっ、今なんと……」

私はあまりにも何が起こっているか理解出来なくて、追いついていない頭で出てきた言葉をそのままぶつけた。

……のつもりが。→←踏み出す



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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年4月27日 22時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります!楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください!たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!頑張ります! (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月乃 | 作成日時:2019年10月6日 18時

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