初恋のドキドキ感 ページ12
「Aさん、それ取ってもらってもいいですか?」
「あ、この皿ですよね……?ど、どうぞっ!」
ただ私が片付け忘れていた皿を透さんに渡しただけ。そして……、手が少し触れただけ。いつもなら受け流せるんだけど、自分が降谷さんを好きだと自覚してからは心中全く穏やかじゃない。今だって、頑張って顔に出さないように必死である。
「……そろそろ手を離してくれますか?早く洗ってしまいたいので。」
「あっ、す、すみません!」
表情を悟られないよう必死で、自分がずっと皿を握りしめていたことに意識がいってなかった。あ、手汚れちゃった。
「はぁ……。拭いてやるから、手、出して。」
「えっ!?……あ、ありがとうございます……。」
降谷さんは私の右手首を掴んで、パパッと拭いてくれた。降谷さんは面倒見もいいんだろうな、なんて思いながら、またもやドキドキをどうにか紛らわしていた。
あまり距離が近いと私がやらかしかねないのもあって、ある程度距離を保ちながらも片付けを終え、今度こそさっさと帰ろうとしていた。
「じゃ、じゃあ……、お疲れ様でしたー……。」
「ちょっと待て。どうしてそんなに僕から逃げようとする?」
「べ、別に、逃げようなんて……」
といいつつ、内心ドッキドキである。返答次第では私が降谷さんへの気持ちがバレかねないし。降谷さんに説教されながら告白とか最悪すぎる……。
「……まあいい。ここからはプライベートだ、君が僕にどう接しようと関係ない。……ただ、」
「ただ……?」
降谷さんは私に視線を逸らしたかと思えば、首元に右手をやり、溢れていた私の髪を掬ってふわりと耳にかけた。驚いてしまった私は、固まったままパチパチと瞬きを繰り返すことしかできなかった。
「……その反応は困る。今までハニートラップの訓練も散々したのに、今更この程度で動揺されては仕事にならない。」
「いっ、今のはずるいです!不意打ち!!」
「ずるい、待ってで漏らした情報が消えないことくらい君でもわかっていると思うが?」
確かに降谷さんの言うことは正しい。そして、私が彼を好きだということに気づいていないということもわかった。
けどさ、好きな人に思わせぶりなことされたら嬉しくて舞い上がっちゃうに決まってるじゃないか。相手が降谷さんじゃなければ対応できる、なんて貴方が好きですと言っているようなものだし……。
1303人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年4月27日 22時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります!楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください!たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!頑張ります! (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月乃 | 作成日時:2019年10月6日 18時