お友だち ページ29
「……じゃあ、もう帰ろうか。すみません、今日は本当にありがとうございました。あ、優作くんにはよろしくお伝えください。」
と、彼が扉に手をかけた時、
「おや、もう帰られるんですか。鳴海社長？」
「ゆ、優ちゃん！？ていうか、鳴海社長ってまさか……」
そう。結婚したばかりの頃に、優ちゃんが小説のモデルにしたくて取材を自ら申し込んだ若手社長がいたという話を聞いたことがある。その人とは今でも友好関係が続いているとも。
「優ちゃん、それがAちゃんのお父さんだったって気づいてたの！？」
「ああ。Aちゃんのことは聞いたことがあったからね。」
驚く私を気にも止めず、優ちゃんは二人を家に上げた。
「Aちゃん、腕は大丈夫そう？」
奥で優作と鳴海さんが二人で話している中、大人しくソファーに座っていた彼女に声をかけた。
「あ……、大丈夫です。」
「ふふ、よかった。Aちゃんはとても強くて優しい子ね。」
「え？なんで……」
彼女は驚いて、わからないと言いたげに目をパチパチさせた。
「だって、痛いのを我慢して気を使って笑顔を作ることはなかなか出来ることじゃないわ。……でもね、あなたを大切に思う大人がいるってこと、大人を頼ることも忘れないでね。」
Aちゃんの手を握って、しっかりと伝える。彼女が心を閉ざそうとしているのはわかったから。せめて、その事実だけはわかってほしかったのだ。
Aちゃんは、俯いて何度も頷いていた。時々目を擦りながら。
・・・
「……ってことがあったの。あの後、Aちゃんのお父さんに頼まれてAちゃんを時々預かることになって。Aちゃんが高校からは寮生活をするって言い始めるまで一緒に暮らしていたのよ。」
「そうでしたか。結局、彼女の父親は……」
「……もうこの話は終わりにしましょう！せっかくの肉じゃがが冷めちゃうわ！」
有希子さんは俺の言葉を読んでいたのか、遮るように居間へ向かった。
「……そうですね。」
……俺の予想が正しければ、鳴海Aの父親について後々話を聞くことになる。そうすれば彼女ともう一度、あの姿で。
俺は少し重い腰を上げて、細々とした食器を手にリビングへ向かった。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2023年4月27日 22時) (
レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります！楽しみにしてます。頑張ってください！ (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください！たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます！そう言っていただけると励みになります！頑張ります！ (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月乃 | 作成日時：2019年10月6日 18時
