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『上がりました〜』
リビングに行くと樹はゲームに集中してて
帰ってしたらいいのにと思いつつ、冷蔵庫からビールを2本取り出してソファに向かい樹の隣に座る
「ん、サンキュ」
『勝てそう?』
「まー、ぼちぼち」
画面から視線は外さないが、会話できてるだけマシ
集中きすぎてるときは無視されるから
私も携帯を触ってるといつのまにかゲームは終了してたみたいで、樹はじっとこっちをみてた
『なに?勝てたの?』
「あー、勝ったけど」
「あのさ、」
『ん?』
「Aって本気で人を好きになったことある?」
『へ?』
なんか真剣な話をされるのかと思ったら拍子抜け
ある意味真剣なのか、めちゃくちゃ真面目な顔してる
『そりゃあるけど、遠い昔だよ?』
「どんな気持ち?」
どんな気持ちって…
『めちゃくちゃに愛おしくて、この人しかいないって感じて…』
って、そんなこと口に出すのが久々すぎて恥ずかしくなってきた
『どうしたのそんな急に』
「いや、リリック浮かばなくて」
オレ、真面目に恋したことなんてないし
なんてなんとも樹らしい理由
『一回くらいあるでしょ、どうしてもこの人の彼氏になりたい!とか他の人に取られるのが嫌だ!とか』
「うーん…」
「彼氏になれなかったことねぇし、取られる心配なんてしたことねぇ」
『うざいよそれ』
わたしも、胸張って言える恋愛してきてないからな
忘れたや、人を本気で好きになる気持ち
この人に彼女がいたら嫌だなって思う人とか、
ふと頭の中に浮かんだ人物がいたけど、そんなわけないと思ってすぐかき消す
「お前もっと恋愛した方がいいよ」
『うるさいなぁ、できるもんならしてるって』
『紹介でもしてくれんの?』
「…いいよ」
『え!うそ!どんな人!』
「んー、めちゃくちゃイケメンで、優しくて、案外一途」
え、めちゃくちゃ優良物件
「あと死ぬほどモテてて、4時間で女の子オトしちゃうくらい魅力的なやつ」
いつものように口角を片方上げたキメ顔をする樹
『なんだ樹じゃん』
「そーオレ」
まんまと期待したわたしが悪かったですよ…
「えー俺じゃダメ?」
「めちゃくちゃ優良物件じゃね!?」
『真面目に人好きになったことないって公言するやつのどこが優良物件なのよ』
それもそうだ…なんて言いながらタバコを吸いにベランダに出た
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作者名:gaga | 作成日時:2023年12月14日 16時