歪の真珠 (ページ2)

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2話ページ2

「可愛いA、私だけのA」

アントニオは私をその大きな体に閉じ込めるのが好きだ
何かから隠すように、自分以外見せないようにと禍々しい揺りかごは私を覆って離さない

「アントニオ、私の事好き？」
「ああ、愛しているとも」
「どうして？」
「お前は私に愛されるために生まれた、私はお前を愛すために創り出したのだ、愛さない理由など無い」
「でも私は本物じゃない」

そういうとアントニオは声をあげて笑った

「本物？それに何の意味がある？少なくともお前はそのままの方が良い」

アントニオは私を抱き上げよしよしとあやす様に揺れた

「自分が人形の体をしていることに引け目を感じているのだな、可愛い奴め」
「アントニオは本当に私を愛しているの？」
「愛しているとも、何があろうとお前を手放したりはしない」

髪の蛇がしゅるりと首に巻きついた
アントニオの手がつぅっと頬を撫でる

「お前は安心してここで暮らせば良いのだ」

アントニオはニタリと笑い私を降ろした
そして私を撫でると部屋から出ていってしまった

やはりここに閉じ込められる事に納得がいかない
外へ出るにはどうすれば良いのだろうか
生憎ここには窓なんて物は無い

私はまたこの部屋から逃げ出した
またどこか外へ出られそうな所を探しに行かなくては

部屋の外をふらふら歩いているとまたアントニオに見つかってしまった

「聞き分けの悪い子だな、あそこから出てはいけないと何度言ったら分かるんだ」
「アントニオはどうしてすぐに私を見つけられるの？」
「はぁ、全くお前は……」

アントニオはしゃがむと私の胸元をトントンと叩いた

「私はお前を作る際ここにバロックパールを埋め込んだ、それが光っているから私はお前を見つけ出す事ができるのだよ」
「普通の真珠じゃいけなかったの？」
「そうだ、覚えておけお前はどこへも行くことが出来ない、バロックパールの呪いでな」
「呪い？」
「バロックパールに込めた呪いだ、お前は私から離れることは出来ない」

アントニオは先程のようにまた私を部屋へと連れ戻した
なるほど、アントニオが1度もこの部屋に鍵を掛けなかったのは私が居なくならない保証があったからなのか