栗花落カナヲのお姉ちゃん 参

お師匠 ページ10

空が赤く染まり始めたから帰ることにした。
いやぁ日が短くなったね。空気もひんやりしている。

今日はまっすぐ家に帰ったからか、あっという間に家に着いてしまった。

｢ただいま帰りました｣

本当に祝言どうしようか…。

いや、とりあえずお風呂とご飯の支度だ。割烹着を着て気合いを入れ直す。


暫く家事をしていると、真が肩に止まってきた。

真｢サネミカラデンゴンダ。キョウハカエリガオソクナル、メシハヨウイシナクテイイ。｣

｢わかった｣

こういうことはよくある。2人でご飯を食べることの方が少ないぐらいだ。

真｢Aノメシヲクワナイナンテ、サネミハドウカシテルナ｣

｢こら、それは言い過ぎでしょう？それに私の料理はそんなに上手じゃないよ｣

真｢イヤ、Aノリョウリはオイシイ｣

｢嬉しいことを言ってくれるねぇ｣

4年前より大きくなった(標準的には結構小さい)体に頬ずりする。ふわふわの毛並みが気持ちいい。

｢あ、そういえば、真はどこでそんな男前な言葉を覚えてくるの？｣

真｢シショウにオシエテモラッタ｣

｢ふふっ師匠？｣

真｢アァ｣

目上の鴉には従順な真だから、先輩からそう呼べとか言われたのかなぁ、可愛い。

｢ふふふ、そっかぁ｣

真｢ワラウコトナイダロ。シショウハイロンナコトオシエテクレルゾ｣

｢いやぁ、真が可愛くて。真がそこまで言うなら良い鴉なんだろうね｣

真｢オレハカワイクナイッ！｣

｢うわぁ！ごめんごめん、耳元で叫ばないで〜！｣

びっくりしすぎて手を切るとこだった。危ない危ない。

真｢マァシショウハイイヤツダケドナ｣

鎹鴉歴5年以上の真の師匠なら、結構なベテランなんだろうな。

いいな、会ってみたい。

｢そのお師匠さんには会えるの？｣

真｢アエナイ。オレトシショウノヒミツダ｣

あらら、秘密なんだ。真に秘密なんて言われる日がくるとは…。

｢それは残念ね…ちょっと会ってみたかった｣

真｢コレダケハAニモオシエレナイナ｣

へぇ、真が私にこれだけ言うなら本当に会っちゃいけないんだね。

真｢ヒトツダケイエルコトハ、シショウハイツモオレタチヲミマモッテイル｣

見守っている……？

｢へぇーどこかから見てたりするのかな｣

真｢イヤ、ソラカラ｣

｢空？｣

真｢アァ｣

空…。なんとも不思議な話だな。ちょっと怖くなってきた。いや別に、お化けとかそういう類いは信じてないけど。信じてないけど！

｢名前とかあるの？｣

真｢キイタコトナイナ｣

謎だ…

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