冷たい ページ49
その日の夜は本当に豪華なご飯だった
「うわぁすごい……」
宿屋「錫子さんがたくさん持ってきてくださったんです。その時に祝言の話も聞いて、私達も腕によりをかけて作りました」
「ありがとうございます…!」
美味しい、美味しいと思いながら夢中で頬張っていると、隣に誰かが座った
「無一郎くん!?」
無一郎「……えっと、Aさん?」
「うん!久しぶり、って程でもないか。この前薬取りに来てたね」
柱の人達は大怪我をそんなにしないし、ちょっとした怪我は自分で手当てするから薬だけ取りに来ることが多い
無一郎くんも例外ではなく、つい先日も蝶屋敷で会ったのだ。祝言も来てたしね
無一郎「Aさん、そんなに食べたら太るよ」
「ウッ……」
君は乙女になんてこと言うんだい!?
誰にでも容赦ないね…
「ま、まぁ、今日だけだし。私のために作ってくださったものもあるから、美味しく食べたいじゃない?」
無一郎「ふーん」
あ、すごく興味無さそう
「あっ、無一郎くん、手どうしたの?」
無一郎「手?」
「赤くなってる。私に見せて」
スッと差し出された手には、全然大したものじゃないんだけど、鍛錬の時にはつかないだろうところが赤くなってた
無一郎「痛くないし、心配しすぎじゃない?」
「うぅん……そうなんだけど、普通に鍛錬してたらつかないでしょう。今日何かした?」
無一郎「今日……?カラクリで、鍛錬して…。あれ、誰かに会った気がする。誰だっけ」
「カラクリ?」
無一郎「知らないの?Aさんなのに?」
「知らない。会った人は覚えてる?」
無一郎「うーん…赫い、髪と目…箱?」
うーん?誰だろう
「まぁ、いいや。どこかに当たったのかもしれないね。大したものじゃないけど、気をつけてね」
手を離すとそのまま、またご飯を食べ始めた
しばらくして、無一郎くんは食べ終わったようで、隣で小さくご馳走様と聞こえた
部屋を出る寸前、くるりと振り返った無一郎くんと目が合った
無一郎「人の心配だけじゃなくて、自分の心配もしてよ。手、冷たすぎ」
「え、あ、」
予想外だ。予想外すぎる一言に困惑して、何も言えなかった
「自分の心配、か……」
確かに手は冷たいかもしれないけど、これ冷え性なだけだし。
今日は温泉にゆっくりつかって休もうかな!
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鈴音月 - ゼリーさん» やさしい゛゛゛!! (2021年6月14日 20時) (レス) id: 7ac441a921 (このIDを非表示/違反報告)
ゼリー - こちらこそお忙しい中更新してくださってありがとうございます! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 4ef789830e (このIDを非表示/違反報告)
鈴音月 - ゼリーさん» ありがとうございます(泣) (2021年5月29日 13時) (レス) id: 665296cf15 (このIDを非表示/違反報告)
ゼリー - 受験生なんですね!受験勉強頑張ってください! (2021年5月25日 21時) (レス) id: 4ef789830e (このIDを非表示/違反報告)
鈴音月 - ゼリーさん» まじですか!?!?おめでとうございます!!(気が早い)応援のお言葉もとても嬉しいです…。更新遅くてすいません。受験生なもので、ね、うん、言い訳は良くないですね。頑張ります!!! (2021年5月23日 11時) (レス) id: 665296cf15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴音月 | 作成日時:2020年12月21日 22時