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10月31日ハロウィン当日。
午後3時30分。

コスチュームも準備して自室に呼びつけた真緒相手に、思わず愛を抑えきれなかった僕は、むくれた彼女に追い出された。


まあ、本気で怒ってる感じじゃなかったから大丈夫だけどーーードラコは口元の緩みを片手で隠しながら、ソファに座って彼女を待った。

その絵になる姿に、周りの女子生徒が遠巻きにひそひそと囁きあっているが、ドラコは気にもかけない。


自らの用意したドレスからハイヒールまで着こなし、ヴァンパイアの花嫁にふさわしい彼女の姿に期待を高まらせていた。





4時30分頃。

皆が移動し始めて、談話室の人が減った頃に、男子寮から騒めきが聞こえてきた。

ドラコは口角を上げる。

きっと、真緒だ。


真緒「ドラコ」


階段をゆっくり降りる音。

ドラコが振り向くと、酷く儚げで美しく妖しい花嫁の姿。

黒髪はサイドに纏め、白く細っそりした首が強調され、デコルテにはダイヤモンドのネックレス。

真紅のルージュ。
黒く長い睫毛をいつも以上に際立たせたアイメイク。
あえて頰の血色は無くしたーーー正に、美しいヴァンパイア。


ドラコの見立てたドレスは彼女にぴったりのサイズだった。

背中を際どいところまで開けたドレスで前は短く後ろは長い。
前から覗くのは白い足に生える黒の網タイツ。



ドラコがごくりと生唾を呑んだことには気付いていない真緒が恥ずかしそうにドラコを見た。

真緒「ねぇ…派手じゃないかしら」

「いや、堪らなーー派手じゃない。とても美しいさ」

真緒「そうだ、ドラコ。貴方につけて欲しいの」


顔をこっちにと言われるがままに寄せると、カラーコンタクト。
お揃いよ、とルビーのような真紅の瞳をしている真緒から推察するに自分も同じなのだろう。

初めてのコンタクトに若干怯んだことはバレていない筈だ。


「行こう」


真緒をエスコートして廊下を歩くと、周りの生徒が騒めき2人を見送る。

ドラコは非常に気分が良かった。

隣の真緒は、教員なのにはしゃいでると思われる、など不安そうに呟いているが、流石ーー姿勢は凛としている。



大広間はドラコが4年生の時のようにパーティー会場として飾り立てられている。

圧倒的な存在感で、周りから少し遠巻きに見守られる2人は、中央に来ていた。



真緒「もう少し端によりましょう」


何故かこういう場面で真緒は無駄に日本人気質が出るらしい。

ドラコは、腰から彼女を引き寄せた。


「いやだね」

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作者名:M.S | 作成日時:2019年9月7日 18時

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