08episode.T ページ8
強引でずるい大人の所行や思ったけど、
止められへんかった。
「…あ、と………Aは、放課後……残る、ように……」
ホームルームで言ってしもうた。
ほんま、自分の私情挟むのだめやってあれほど自分に言い聞かせたのに。
正統な理由っぽいのはある。
今日の進路指導で唯一、なんにも決まってなかったから。
みんななんも知らへんのや。
なんにも知らへんいじめっ子グループも
Aを指差しクスクス笑っとった。
────
「で、希望進路は……」
教室からみんな出て行くまでの口実。
そんなつもりで彼女に向かった。
我ながら教師失格やとおもう。
「進学」
まっすぐな瞳。
びっくりした。
初めてかもしれへん。
こんなA。
面と向かって彼女を見るのが久しぶりなんやろか。
「私、大学に進みます」
教室を出て行く生徒の騒音が気にならへんかった。
「躑躅森先生みたいな先生に……なりたいです」
拳銃で討たれたような衝撃が走る。
全身を赤く染めた。
見つめ合う瞳と瞳。
釘付けやった。
動けへんかった。
ここでやっと気づいた。
ああ、笑ってへんのや。
Aが笑ってへん。
今までのような静かな教室。
二人だけの空間。
そして……なぜか自嘲するように笑うA。
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作者名:つづみも | 作成日時:2019年12月9日 5時