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37episode.T ページ10

前々から、度々Aにオススメされとったけど結局行ってないなぁ。

そう思ったから、いい機会やと思って承諾したけど……
これよく考えたらデートじゃないか…?
いや、デートやん。


Aに車の前で待っとくよう言ったけど、
いや誰が見とるかわからんのにそんな……
アホちゃうか俺……
簓みたいに人懐っこい笑顔されたら参ってしまったやん……
いやこれ言い訳。


あー……
限りなく自問自答を繰り返す。
でも約束したんは断れへんし……

いや、俺がこんなオドオドしとったら逆に怪しいよな。
普通。普通や普通に振る舞おう。

パソコンの電源を落として鞄を手に取る。


ちょっと時間も遅いし、
冬やし、暗くなるのも早いし、
そう、だから……

また言い訳やけど……



めっちゃ紳士やな盧笙さん

って脳内の簓が言ってくれたからちょっと心が軽くなった。


玄関を出ると目の前にAがおった。

「あれ、A……」
「先生。車わからなかったので」

いつも通り向けられた笑顔は
夕陽に照らされてちょっと神秘的に見える。

「あ、あぁ。そっか」


車のとこまで連れてって
Aを助手席に乗せた。
彼女は目新しものでも見るように車の中を見回して、運転席に座った俺に向かってにっこり笑った。

……なんかええな。こういうの。


そんな長く感傷にも
浸っていられないから、
車を発車させた。

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作者名:つづみも | 作成日時:2019年12月16日 17時

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