からっぽの生徒/中編【躑躅森盧笙】 (ページ23)

今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:27,895 hit

50episode.◇ ページ23

ちょっと皆……やめなって
☆姉貴らしいなぁ。でも証拠はここにあるんやし、徹底的にA潰そうぜぃ～

いい加減にしろ!!そういうのよくないと思う
□うーん……姉貴がそないまで言うなら、姉貴がなんとかしたら?
☆あー。確かにそやな。自分も潰す～言うたけどそんなこと大きしたいわけやないし。もう二度とAが盧笙先生に近づかないならそれで結構
○ねぇねぇ、姉貴がどうにかできひんかったらどうするん?
☆そん時は晒しもんですわ。Aのいじめっ子にこれやるわ。あいつらうまくやって先生に捕まったことないらしいし
□さすが☆!!考えがえぐいね～ww
☆姉貴、なんとかするなら今週の金曜までにね。自分そんな堪忍できんタイプって知っとるやろ?

わ……わかった

「宣言したはいいけどどうすればええかよくわからんくて……ずっと考えよったんやけど……」

耳に言葉が入ってこない。

「もう時間もないなって思ったから……」

目の前が真っ暗だ。
なんでこの子はこんなに親切なんだろう。
私こんなに嫌われてるのも気にせずわからず何も感じず作り笑って過ごしてきたのに、今の私は真っ白だ。

「月曜日も火曜日も教室でのあんたらの様子見よったんやけど……ほんとにお似合いのカップルって感じで……なんか、盧笙先生もすごい柔和な笑顔しとるし……あんたが先生の弱み握ってるわけでもなさそうやし……せやから円満解決したくって、でも……」

限界だ。
キャパオーバーだ。
私と感情を繋いでいた頼りない糸が切れた。

「いいよ」

ぷつりと切れた。
綺麗にキレイに奇麗に切れた。

「……え」

顔面蒼白。
それは彼女の顔。

私は笑顔。
もちろん笑顔。
ノーマルな顔。
張り付いた顔。
とびきり、からっぽで、何も宿さない。
初めの私。
元来の私。

「私はね、先生のこと利用してたの。先生は皆から愛されてるから、私みたいに落ち込めばいいと思った」

思ってもいないこと。
大嘘つき。
酷い人。

「あーあ。あなたのせいで気が変わっちゃった」

それでいて何にも思わない。
何も考えてない。
思ってない。

「じゃあね、ありがとう」

とびきりの笑顔で手を振った。
なんで彼女はあんな変な顔してるんだろう。
怯えきって。変だな。

あなたが恐れることなんて何もないのに。