42episode.T ページ15
『こんばんは、せんせ』
受話器越しのAの声が新鮮やった。
笑ってるのが自然に想像できる明るい声。
「こんばんは」
『この会話夕方もしましたね』
「そ、そうやな」
耳がすごいくすぐったい……
最近の技術ってすごいな……
Aのあくびする音まで鮮明に聞こえる。
ん…あくび……?
ふと時計を見上げるともう11時を指しとった。
俺はあ…あぁ!とみっともない声を漏らす。
そろそろ寝る時間だよな……
時間も確認せずにこんな軽率に電話かけるとか
今日はやらかしが凄いぞ阿呆……
多分Aはどうしましたか?
か何か言おうとしたと思うんやけど、
それを遮って声を上げた。
「す、すまん…!寝るとこやったやろ。すぐ切るから……ほんまにごめ……」
言い終わる前にクスクスと笑う音が聞こえた。
言葉をとめて焦燥しとると、
いつもの調子で返事が帰ってきた。
『もう、いきなり大声出さないでください。びっくりしました』
「あ、す、すまん……」
『謝らなくていいですよ、それにまだ寝ませんし』
明るい声を崩さないけど、
確実に眠たそうに、
空気混じりのふわふわした声が聞こえる。
かわいいけど、
それよりも自分の罪悪感の方が勝っていた。
『それに、私も……先生の声聞けて嬉しいです』
穏やかで、仏様みたいな声やった。
罪悪感が急に払拭される。
ふわふわとした暖かいものに包まれるような、
見たことないような綺麗な綺麗なお花畑を見てるような心地。
『ろしょーせんせ。大好き』
胸の奥がぎゅうって締め付けられて、
全身の血行がよくなる。
もう……やばいって。
そんなこと言われたら会いたくなるやん……
「な、なぁ」
『なんですかー?』
空気量の多いかわいい眠たそうな声。
「今週の日曜……予定ある……?」
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作者名:つづみも | 作成日時:2019年12月16日 17時