38episode.T ページ11
うんまい…!
肉まんを頬張って目を輝かせる。
「気に入ってくれてるみたいでなによりです」
Aは明るい笑顔のまま
俺を見据えとる。
にしても肉まん専門店とは斬新な店や。
店内でも食えるって、
感覚的にはハンバーガー屋さんやなぁ。
「やっぱり冬は肉まんに限りますね」
正面でにこにこしている少女。
ほくほくと効果音がつきそうなくらい
あつあつな肉まんを含んで、更に幸せそうに笑う。
「そうやな」
この時間好きやなぁ
としみじみ思った。
そっか。俺達付き合っとるんよね。
ちょっと不埒やけど……
照れ臭いとか感じるのは俺だけなんだろうか?
だとしたら……ちょっと虚しい。
でも、前に比べてAは断然幸せそうやし、
人間らしさも増した。
なら、ええか。
「こんないい店紹介してくれたお礼に奢るよ」
幸せな顔見せてくれたお礼や。
愛しい女の子やでほんま。
「いえいえ、そんな滅相もないです。私の我が儘を先生が承諾してくれただけなので。キチンと払わせていただきます」
しっかり者。
思わず顔が綻んでしまう。
「いいや、いいよ。彼氏の顔たてさせてくれ」
肉まんをすべて放り込み、
Aは一瞬キョトンとした顔になった。
空中に円を描くようにくるりと目を一回転させると、
俯いて、そういえば……かれし、なんですよね。と言った。
やばい……照れとるみたいでかわいい。
いままで付き合ってきた子の中でも最高に
やばいベタ惚れやんこれ。
「じゃあ……お言葉に甘えさせていただきます。
いつと同じようにケタケタ笑って。
俺は鳩が豆鉄砲くらったみたいになった。
そんなずるいて……
今まで……学校では一度も、
『盧笙先生』なんて呼んでくれへんかったやん。
「先……車乗っとき」
顔が熱くなってくるのばれへんように、
視線を逸らして鍵を渡す。
なるべくAの顔を見らんよう、
領収書持ってレジカウンターに向かった。
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作者名:つづみも | 作成日時:2019年12月16日 17時