検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:35,206 hit

13 ページ17

商品…明日ここを出る…





『…まさか』




“人身売買”



その言葉が頭をよぎった。





嘘…嘘だ…



俺は嫌になって、すぐさま部屋へと駆けた。


その夜は恐怖で眠れなかった。

---


「おはよー、氷字!…って隈凄いよ!!」


『うん……昨日寝てない。』


「えぇーなんで!…………あっもしかして怖い夢見たとか!」


言えなかった。



人身売買の現場を見たなんて。


『……うん。』

初めて君に嘘をついた。


「…そっか。じゃ、今日は一緒のベッドで寝よう!」


『そうする。ありがとう』






---

1年と2ヶ月。



明後日、癸柚がここを出る。



「ありがとね。氷字。……ぜっっっつたい手紙送るから!!」



その向日葵の様な笑顔には、哀しさも見えた。







.








次の日、癸柚が手紙を一枚渡してきた。




「…これさ。私がここを出てから読んで。そして、読んだら誰にも分からない様に捨てて。」

今までにない真剣な顔で訴えてきた。


『う、うん。』







.





自由時間、その時癸柚は居なかった。呼び出されたから行ってくるー!と言っていたので、きっと玄鳥さんの部屋にいるのだろう。






手紙。




『…待てない。』

==

氷字へ。


氷字、ここから逃げて。


私は売られた。

貴方には生きて欲しい。


お願い。



癸柚より。

==




『…っ!』


やっぱり。



しかし俺にはどうすればいいのか分からなかった。




その夜は昨日と一緒で、癸柚のベッドで寝た。





ぎゅっと身を抱き寄せて。





又、明日が来た。



「皆、今までありがとう!大好き!」


夕食を終わらせた後、癸柚はそう言った。


「氷字……ありがとう。大好き。さようなら。」



その言葉には、永遠の意味が込められている気がした。


『うん。うん…俺も…大好きだから…!バイバイ。』



2人は泣きじゃくりながら別れを告げた。






癸柚と玄鳥さんがドアを開けて、外へ出た。







俺は






付いて行った。




『…は…?』



癸柚は、知らない男の人の車に無理矢理乗せられそうになっていた。


抵抗していた。



その時、癸柚と目があった。


____助けて


そう言われた気がした。しかし、体は思うように動かない。



『あ…あぁ…』


そのまま、癸柚は車に乗せられて行ってしまった。


その後俺は走って孤児院の中に逃げた。

何もしてやれなかった。



無力だ。




そんな哀れな8月15日。

お詫びとお知らせ→←12 馴れ初め~孤児院時代編~



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
136人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

小生 - 面白いね!更新ガンバ!! (2020年1月14日 22時) (レス) id: 803df9d103 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 面白いです!続きが早くみたいです!更新、頑張って下さい! (2019年8月8日 16時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 面白いです!! (2019年4月5日 19時) (レス) id: 60d5fcb14e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:( ^∀^) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yukiltu-na  
作成日時:2019年2月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。