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商品…明日ここを出る…
『…まさか』
“人身売買”
その言葉が頭をよぎった。
嘘…嘘だ…
俺は嫌になって、すぐさま部屋へと駆けた。
その夜は恐怖で眠れなかった。
---
「おはよー、氷字!…って隈凄いよ!!」
『うん……昨日寝てない。』
「えぇーなんで!…………あっもしかして怖い夢見たとか!」
言えなかった。
人身売買の現場を見たなんて。
『……うん。』
初めて君に嘘をついた。
「…そっか。じゃ、今日は一緒のベッドで寝よう!」
『そうする。ありがとう』
---
1年と2ヶ月。
明後日、癸柚がここを出る。
「ありがとね。氷字。……ぜっっっつたい手紙送るから!!」
その向日葵の様な笑顔には、哀しさも見えた。
.
次の日、癸柚が手紙を一枚渡してきた。
「…これさ。私がここを出てから読んで。そして、読んだら誰にも分からない様に捨てて。」
今までにない真剣な顔で訴えてきた。
『う、うん。』
.
自由時間、その時癸柚は居なかった。呼び出されたから行ってくるー!と言っていたので、きっと玄鳥さんの部屋にいるのだろう。
手紙。
『…待てない。』
==
氷字へ。
氷字、ここから逃げて。
私は売られた。
貴方には生きて欲しい。
お願い。
癸柚より。
==
『…っ!』
やっぱり。
しかし俺にはどうすればいいのか分からなかった。
その夜は昨日と一緒で、癸柚のベッドで寝た。
ぎゅっと身を抱き寄せて。
又、明日が来た。
「皆、今までありがとう!大好き!」
夕食を終わらせた後、癸柚はそう言った。
「氷字……ありがとう。大好き。さようなら。」
その言葉には、永遠の意味が込められている気がした。
『うん。うん…俺も…大好きだから…!バイバイ。』
2人は泣きじゃくりながら別れを告げた。
癸柚と玄鳥さんがドアを開けて、外へ出た。
俺は
付いて行った。
『…は…?』
癸柚は、知らない男の人の車に無理矢理乗せられそうになっていた。
抵抗していた。
その時、癸柚と目があった。
____助けて
そう言われた気がした。しかし、体は思うように動かない。
『あ…あぁ…』
そのまま、癸柚は車に乗せられて行ってしまった。
その後俺は走って孤児院の中に逃げた。
何もしてやれなかった。
無力だ。
そんな哀れな8月15日。
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小生 - 面白いね!更新ガンバ!! (2020年1月14日 22時) (レス) id: 803df9d103 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 面白いです!続きが早くみたいです!更新、頑張って下さい! (2019年8月8日 16時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 面白いです!! (2019年4月5日 19時) (レス) id: 60d5fcb14e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:( ^∀^) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yukiltu-na
作成日時:2019年2月4日 0時