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知ってる。静弥が好きだから。
でも、だから知ってる。今、静弥が鳴宮くんとすれ違っていることも。
静弥は今辛いはずなのに、なのに、こんなに優しくされたらしんどくなってしまう。
彼がどんな辛い思いをしているのか、弓道部員でも無い私には分からない。
きっと鳴宮くんの事で頭がいっぱいだと思っていたのに、今私だけを思ってくれている目が嬉しくて。
「…………っ」
外から見てることしか出来なかったのが情けなくて、辛くて、思い出して、ぐちゃぐちゃになって涙がこぼれた。
「A、僕はね」
静弥が涙を拭ってくれた。
考えを全て見透かしたような綺麗な蒼の双眸が真っ直ぐ私を見つめていた。
「あの時Aがそばに居てくれて嬉しかった。……嬉しかったんだよ。」
「Aが弱ってる時にこんな事言うべきじゃないかもしれないけど、どうしても聞きたくて。」
《何？》
スマホで返答を打ち込むと、静弥はサッと目を通してこう言った。
「直球的な聞き方するけど、Aはさ、僕のこと好きかい？」
「ｯ！？！？」
ば、ばれ…………っ！？いやそうじゃなくて！！！
ぶわっと顔が赤くなる。それが返答の様なものになってしまった気もするが、熱のせい。そう、これは熱のせいだ。
「あ……ふふっ」
こぼれ落ちたような笑い声が聞こえた。
静弥だ。
「Aってさ、分かりやすいよね。」
「う…………」
前から私が静弥を好きだということは、バレていたのだろう。本人に。
恥ずかしぬ……。
「A、僕もね」
「君が好きだよ。」
……？
「そうじゃなきゃ、さすがに僕だってこんな事しないさ」
…………？？
「湊との事はね、ちゃんと解決してきたよ」
「君がいてくれたから」
……。
待って待って、一旦ちょっと状況を整理しよう？
私の好きはバレていて……？
↓
それを知った上で静弥がお見舞いに来て…
↓
ドSに「俺の事好きだろ(脳内変換)」とか言ってきて(言ってるようで言ってない)
↓
「実は僕も」(湊の件も解決したよ)
…………？
「な……な………？」
声出ないのも忘れて話そうとしてしまった、いかんいかん
《冗談……？》
「なわけないでしょ」
そろりと静弥を見ると、顔を赤くしていた。
両想い……だったらしい。
「「……………。」」
え、いやどうしたらいいんだこれ、なんか言わなきゃだよね
《ゼリー食べたい》
「え、あぁ、ちょっと待って」
あぁ、咄嗟とはいえなんて色気のない…。
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作者名：眼鏡かけ機 | 作成日時：2022年9月9日 14時
